2022-04-12

赤狩りの再来とウクライナ政策論争

ケイトー研究所主任研究員、テッド・ガレン・カーペンター(2022年4月11日) 

米国の対露政策に関し、「赤狩り(マッカーシズム)」と同じパターンが現れた。ロシアがウクライナに侵攻するずっと前から、ネオコンとタカ派リベラルの連合がそれを主導した。2014年に親露派の大統領を失脚させるため米政府が干渉し、ロシアのクリミア併合につながったと主張した専門家は、罵詈雑言の標的になった。

初めに標的とされた一人は、プリンストン大学のスティーブン・コーエン教授である。ソビエト連邦とその後継国を長年研究した著名な学者だ。コーエン氏の動機と評判は貶められ、「米国でのプーチン擁護者」「プーチンの仲間」などという誹謗中傷が日常茶飯事となった。

2014年以降、非難はさらに露骨になった。NATOの東方拡大がロシアを不必要に刺激したと主張するアナリストは「プーチンの擁護者」「手先」「ロシアの回し者」「カモ」「役に立つバカ」と揶揄され、FOXのタッカー・カールソンは「全米一注目されているクレムリンの宣伝マン」とレッテルを貼られた。

1990年代から名高い学者らは、NATOのロシアへの拡大は東西関係を悪化させ、新たな冷戦、あるいは熱い戦争につながると警告を発していた。そのような学者には、冷戦時代の対ソ封じ込め政策の知的立役者であるジョージ・ケナンや、現実主義的国際関係論の長であるジョン・ミアシャイマーが含まれていた。

評論家キース・オルバーマンは、FOXのカールソンと民主党のトゥルシ・ギャバード前下院議員を「敵性戦闘員」として逮捕し、偽情報の罪で裁くため拘束せよと軍に要求した。ロムニー上院議員は、戦闘地域で勤務したことのある優秀な退役軍人ギャバードが「反逆的な嘘」を流布していると非難した。

最近の風潮は少数意見に対する明白な脅威であり、赤狩り時代だけでなく、第一次世界大戦中のさらに非道な言論弾圧を思い起こさせる。当時、米政府は戦争反対者2100人以上を起訴し、ほとんどを刑務所に送り込んだ。現実主義と自制に基づく外交政策を守り、不寛容な雰囲気を再び蔓延させてはならない。

(次より抄訳)
McCarthyism re-emerging stronger than ever in Ukraine policy debates - Responsible Statecraft

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