2022-04-10

ロシアへの重い制裁は、より大きな経済戦争の始まりを意味する

ミハイ・マコベイ、ルーマニア・ミーゼス研究所研究員(2022年4月9日)

今回のロシアに対する経済制裁の種類と規模は、通常の貿易戦争の域を超えている。外国製品や外国での事業活動を自主的にボイコットするなら私有財産権は侵害されない。一方、政府が直接間接に外国貿易や事業活動を禁止すれば、私有財産権を侵害するだけでなく、その規模から経済的な損害も大きくなる。

外国資産の差し押さえや完全な没収は、正当な裁判所の判決や国際契約、国連決議などの条約の結果でない場合、財産権の観点からはさらに有害だろう。正当な法的根拠がなければ、憲法の文言と精神の双方を遵守することにならない。

制裁で誰がより多くの損失を被るかは別として、一段のエスカレートや本格的な経済戦争につながる恐れがある。契約や財産権の侵害は企業の信頼や貿易、投資に打撃を与えかねない。中国、サウジアラビア、インドなどは今と将来の制裁を避けるため、国際取引で米ドルから離れることをすでに検討している。

ロシアは、世界のGDPの約4割を占める他の新興国と取引を続けているため、経済制裁は期待したほど効果がない。米国と同盟国は、ロシアを非難せず経済制裁も行わない中国やインドなどに圧力をかけるが、ほとんどの国が態度を変えない。中東の友好国でさえ、バイデン大統領の石油増産の要請を無視した。

過去30年間のグローバル化が終わり、制裁が世界的な経済戦争に発展した場合、国際分業の解体による生産性の損失は相当なものになろう。最近の研究によると、経済のグローバル化が1%進むと、OECD加盟国では長期的に生産性が0.5%上昇する。グローバル化の終わりは、それを削り取ることになる。

(次より抄訳)
Heavy Sanctions against Russia Could Usher in a Wider Economic War | Mises Wire

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