元CIA局員・コラムニスト、フィリップ・ジラルディ(2022.4.19)
ウクライナのゼレンスキー大統領は米国のネオコン(好戦的なタカ派)から、国際感情に訴える適切なボタンを押すよう厳しく指導されている。ゼレンスキーはロシアの脅威に警鐘を鳴らし、より多くの優れた兵器を要求することに成功している。
偽旗作戦とは、自分とは別の誰かのふりをし、欺くことを意味する。諜報活動や、戦争行為の真相を隠蔽しようとする軍事行動で広く使用される。
プーチンに対する最近の非難は、ブチャで数百人の市民を虐殺したとされる事件や、4月8日にクラマトルスク駅で50人以上の市民が殺害された事件に基づく。しかしロシアが民間人を虐殺したり、非軍事的な標的を攻撃したりするのは筋が通らない。そんなことをすれば、世界の世論を敵に回してしまう。
ブチャとクラマトルスク駅での事件は「成功」だった。敵対メディアによって、ただちにロシアと結びつけられたからである。しかし話はそこで終わらない。3月30日、ロシア兵はブチャの町を後にした。2日後、ブチャはウクライナのアゾフ旅団に占領され、「裏切り者」の発見と排除が目的となった。
アゾフ旅団はきわめて民族主義的で、ネオナチとさえ言われている。4月2日、最初のビデオが公開され、殺されたばかりの男たちがブチャの通りに横たわり、そのうち数人がロシア軍の「友軍」であることを示す白い腕輪をつけていた。米欧とウクライナ当局は、ただちに「ロシアの残虐行為」の結果と呼んだ。
アゾフは、戦闘地域から「逃亡」する者を「裏切り者」として射殺し、ロシア軍に降伏や協力はしないと誓ったと伝えられている。過去には、ロシア系ウクライナ人に対する残虐行為も行ってきたとされる。
自国の市民を数百人殺害してプーチンをさらに悪者にし、米欧の直接軍事介入をもたらせばウクライナの利益になることは間違いなく、それはゼレンスキーと彼のネオコン顧問がやろうとしていることでもある。ウクライナ兵が意図してウクライナ人を殺害し、ロシアのせいにする偽旗作戦だったのだろうか。
根本の問題は、戦争に偽旗作戦が使われる可能性があることではない。問題は、何が起きているのかについて信憑性のある情報がほとんどなく、虚構に近い「真実」を信じ込ませるために、狂ったように嘘がつかれることだ。昔から知られるように、戦争の最初の犠牲者は真実である。
偽旗作戦や米欧から発信される嘘は忘れよう。嘆かわしいことに、残虐行為の可能性に焦点を当てることで、米欧がなすべきこと、つまりロシアとウクライナの双方に受け入れられる状況をもたらす、真の交渉につながる停戦への環境を整えることが、むしろ難しくなっている。
米国とその同盟国は、和平の環境づくりどころか、ロシアの戦争犯罪に関する疑わしい証言に基づいて、ウクライナに対しこれまで以上に武器を流し込むことに熱心なようである。
(次より抄訳)
Thinking Harder About False Flags and Other Fables, by Philip Giraldi - The Unz Review
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