ノルウェーのノーベル委員会は、2009年にオバマに平和賞を授与したが、彼はその後、少なくとも七か国に対する空爆を行い、アメリカ市民に対する無人機攻撃も実施した。ゆえに、この賞は「平和賞」ではなく「戦争賞(War Is Peace)」の様相を帯びていると著者は痛烈に批判する。2025年の平和賞は、ベネズエラ反体制派のマリア・コリナ・マチャドに贈られることが発表されたが、著者はその背景を疑念をもって見る。マチャドは2002年のクーデター未遂に関与したとされ、米国の「体制交代(regime change)」装置である NED(National Endowment for Democracy = 米国政府系の援助・プロモーション機関)との関係が指摘されている。さらに、彼女はイスラエル首相ネタニヤフに手紙を書き、ベネズエラ政府転覆の協力を求めた過去もある。トランプ政権は現在、ベネズエラ近海に艦隊を派遣し、「斬首攻撃(decapitation strikes)」を公言しており、マチャドの平和賞は外部軍事介入への名分を与える可能性があると著者は指摘する。著者は、ノーベル委員会はこの賞をソフトパワー・宣伝手段として使っており、マチャドへの授与タイミングは米国の外交・軍事戦略と連動していると見ている。
The Nobel (War Is) Peace Prize - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]
トランプがガザ和平案に署名した式典は、紛争当事者であるイスラエルもハマスも出席しておらず、まさに「花嫁も花婿もいない結婚式」のような茶番であったと著者は批判する。トランプは、出席していた多国の指導者にパレスチナ国家承認を語らせ、一方でイスラエルには引き続き強硬策を取らせる二重政策を採る可能性が高いと懸念される。和平案では、相互人質解放などが第1フェーズとされているが、破壊された建物の下に埋もれた遺体の回収不能を理由に、イスラエルが空爆再開を正当化する口実を得る可能性も指摘されている。歴史を振り返れば、1967年以降イスラエル・パレスチナ間では少なくとも12回以上の停戦が破綻しており、今回の合意も長期には持たないだろうと著者は断じている。著者は、トランプはその場を取り繕う言葉で出席者を満足させつつ、裏ではイスラエル側やシオニスト勢力向けに別のメッセージを語っていると分析。こうしたダブル・トーク政策は、必ずどちらかを失望させ、和平案は実効性を欠く「虚構の合意」に過ぎないと結論づけている。
Trump’s Gaza Peace Plan… A Wedding Without a Bride and Groom - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]
イスラエルの閣僚らは、ガザにおける停戦を解除し、攻撃を再開する意向を公然と宣言している。国防相カッツは、拘束イスラエル人の帰還後にハマスのトンネル網を破壊するよう命じたとツイートしており、これを「ガザの非軍事化」「ハマス武装解除」の実現として表明している。ネタニヤフ首相も同様の発言を繰り返し、ハマスが自発的に武装解除しなければ「強硬手段」で実行する構えだと述べている。一方、トランプ大統領は「戦争は終わった」と主張しており、米国とイスラエルの間であからさまに立場の相違が浮き彫りになっている。また、イスラエル政府は、ハマスが遺体を隠していることを口実に、復興制限、物資流入禁止、施設閉鎖などの制裁を加えると報じられており、停戦延長を正当化させない政策を準備しているとされる。
Israeli Officials Are Openly Saying They Plan To Resume Attacks On Gaza - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]
トランプが「ウクライナは領土を全て回復して勝利できる」と宣言した背景には、米国要員によるブリーフィングが影響していると記事は指摘する。彼らは、ロシアが大規模攻勢を重ねても顕著な領土獲得をできておらず、ロシア経済も苦境にあるとの見方を共有したという。記事はこれに対して、ロシア経済は制裁下にあっても安定成長を維持し、2025年には GDP が1%超で伸びるとの予測もあると論じる。対照的に、ウクライナ経済は国際援助なしには維持困難であり、巨額の赤字を抱えている。兵力面でも、ウクライナは人員枯渇・戦死・脱出の問題を抱えており、攻勢を展開できる十分な兵力を持っていない。過去の攻勢作戦(2023年、2024年)でも多くの装備と人的損耗を被ったが、効果的な突破を果たせなかった。記事は、トランプの発言が現地の消耗戦・兵力・補給・国際援助との齟齬を無視した楽観視に基づくものだとし、現実的には「全面奪還」は極めて困難であるとの結論を導く。
Evaluating Trump’s Claim that Ukraine Can Win the War - Antiwar.com [LINK]
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