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2025-10-10

憲法無視の暴走

イスラエル政府は、長年にわたり秘密裏にソーシャルメディア操作を通じ、イラン王家ルーツのレザー・パフラヴィ(元イラン皇帝の長男)を「追放された正統な王位継承者」として国内外に宣伝するプロパガンダ工作を展開してきたという。このキャンペーンでは、AI によって生成された偽アイコンを持つ架空アカウント群、ボット/トロールネットワーク、プロファイル偽装などが駆使され、彼の支持・王政復帰の正当性を印象づける投稿が大量に拡散された。発覚のきっかけは、イスラエル政権関係者による AI 合成映像の投稿であった。この映像には、ネタニヤフ首相らとパフラヴィ家メンバーがテヘラン市内を歩く様子が映され、「来年は自由なテヘランで」などのキャプションが付されていた。投稿は異常な閲覧数を記録し、不自然な拡張パターンが研究者により追跡された。ハアレツ紙の調査によれば、こうしたアカウント群の一部は 2022 年のイランでの反体制運動時期に開設され、最近の 12 日戦争期にはさらに 100 を超えるアカウントが設立されて、ネットでの影響力強化に利用された可能性がある。しかし、この工作は大きな成果を得てはいない。パフラヴィ本人はイラン国内外で大きな支持を得ておらず、むしろ王位支持の主張は反感を買うケースも多い。記事は、イスラエルによるこの種の心理戦術的介入は、資源を注ぎ込みながら成果をあげられなかった点で「大きな失敗」であると評している。
Israel's Secret Social Media War On Iran - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

著者らは、トランプ政権が「国内戦争(everywhere war)」構想を導入し、憲法上の制約を無視して国家統制を拡大しようとしていると警鐘を鳴らす。特に注目されるのは NSPM-7(国家安全保障大統領覚書7号)で、これが「国内の脅威を調査・阻止・解体する」ために各省庁データを統合し、監視・捜査体制を強化する枠組みを定めているという。だが基準は曖昧で透明性や外部監督が欠如しており、反体制や批判的言論まで「脅威」として扱われかねないという懸念が提起されている。さらに、記事は政府が「戦争」と名付けるだけで対象を「戦闘員」と再定義できる論理の危険性を指摘。都市を戦場化し、市民を疑わしき者として扱う構図が国内にも適用されつつあると論じる。また、過去の法制度縮小や大統領権限拡大の流れ(愛国法、FISA 裁判所、NSA のメタデータ収集など)を振り返り、今日の NSPM-7 はそれらの「次段階」であり、特権的権力の恒常化・制度的正当化を図るものだと主張されている。最後に、著者らはこう警告する。このような体制拡大はクーデター的なものではなく、ゆるやかな「権力の常態化」によって自由を蝕む形で進行する危険がある。市民が無抵抗に受け入れれば、憲法的抑制は消失しかねないという。
Trump’s Everywhere War: An Insurrection Against the Constitution - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

トランプ政権は、「対テロ戦争(war on terror)」と「麻薬戦争(war on drugs)」の手法を組み合わせた過激な政策を展開しており、それが法の支配と市民自由を甚だしく脅かしているという批判がなされている。具体的には、アメリカ軍がベネズエラ沖で麻薬密輸の疑いがある船舶を撃沈した事件が紹介されているが、当局はその船が実際に麻薬を運んでいた証拠を提示できていない。この記事は、このような一方的な軍事介入が国際法および米国憲法原則を無視するものであると論じる。さらに、著者はトランプが先行政権の悪弊を拡張しており、戦時期の権限強化(監視体制、国家安全保障関連の強化、恣意的拘禁など)を麻薬戦争・テロ戦争双方に適用する動きを問題視する。特に、疑いだけで軍事攻撃を正当化し、立法権・司法審査を経ずに行動できるという前例を積み重ねることが危険とされる。著者は、こうした権限濫用と権力肥大の先にあるのは、憲法制約の骨抜き化であり、将来的な「無制限大統領権力」の恒常化だと警告する。
Donald Trump's 'Combo War' on Terror and Drugs Is Out of Control - National Security Journal [LINK]

モニカ・ダフィー・トフトとシディタ・クシによる『Dying by the Sword』のデータに基づき、アメリカは1776年から2019年までに392件もの軍事介入を行ってきたとされる。これらの介入は、ラテンアメリカ・カリブ海地域が約34%、東アジア・太平洋地域が約23%、中東・北アフリカが14%、欧州・中央アジアが13%、サブサハラが9%を占める。半数以上は第二次世界大戦以降、さらに冷戦後はそのペースが急増し、2001年以降では年平均 3.6 回に及ぶ。興味深い点として、冷戦期を除いた期間では、アメリカの攻撃性(hostility)は相手国よりも常に高く、つまり多くの戦争は防衛戦争ではなく意図的な帝国戦争(wars of choice)であった可能性が高い。さらに、1776年~冷戦終結までの介入の75%以上はアメリカ単独で実行された。記事は、こうした長年の介入政策が、対象国・地域において反米感情や不信、権威主義体制の肥大化を生んできたとして、アメリカ自身が対立国を「創造し」てきたという構図を提示する。そして、これらの戦争は「選択された戦争」であり、アメリカこそが戦争の escalator(拡大要因)であったと結論づける。

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