コラムニスト、テッド・スナイダー
(2023年5月1日)
米国が主導する一極集中の世界を維持するために苦労している間に、多極化した世界があちこちで生まれつつある。アフリカやブラジルはそれを望んでいる。中国やインドもそれを支持している。ドイツはそれをささやき、フランスはそれを求めている。イランとサウジアラビアは、多極的な上海協力機構(SCO)に参加している。しかし新しい多極世界の現実を示す最も驚くべき兆候は、BRICSの爆発的な成長かもしれない。
How Big Is BRICS?
— Antiwar.com (@Antiwarcom) May 1, 2023
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BRICSは、新しい多極世界において、米国の覇権とバランスを取ることを主目的とする国際組織である。そのルーツは1996年、ロシア、インド、中国(RIC)を中心とするグループの出現にさかのぼる。2009年、ブラジルとともにBRICは最初のサミットを開催した。2010年には南アフリカも加わり、アフリカとラテンアメリカの代表が対等に発言できる唯一の主要な国際機関として、BRICSが設立された。
BRICSは同盟でもブロックでもなく、米国に反対しているわけでもない。しかし米国が主導する一極集中の世界を終わらせ、多極化し、多くの国が対等に発言できる世界に置き換えることを目指している。ほぼすべての大陸からメンバーが集まり、BRICS諸国は32億人、つまり地球上の人口のほぼ41%を代表している。
そして、その均衡はますます強まっている。先日のBRICS外相会議ではインドネシア、カザフスタン、エジプト、ナイジェリア、セネガル、タイがゲストとして迎え入れられた。北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコは加入を目指している。6月に南アフリカで開催される年次サミットでは、BRICSの5カ国が、拡大や加盟に関心を示している19カ国について話し合う。13カ国がBRICSへの加盟を正式に要請し、6カ国が非公式に要請している。イランとサウジアラビアは正式に加盟を要請している。アルゼンチン、アラブ首長国連邦(UAE)、アルジェリア、エジプト、バーレーン、インドネシアが関心を表明していることが知られている。このリストには新たな6億人が含まれ、世界人口に占めるBRICSの割合は41%をはるかに超えることになる。また、このリストにはメキシコと少なくとも3つのアフリカ諸国が含まれると伝えられている。ロシアはこれまで、パキスタン、バングラデシュ、ナイジェリア、スーダン、ベネズエラもリストに入っていると述べてきた。
しかしBRICSの成長は、加盟国や世界人口に占める割合にとどまらない。ほんの数年前までありえないと思われていたBRICSは、今や米国が主導する主要7カ国(G7)を抜いて、世界最大の国内総生産(GDP)ブロックとなった。2021年にはBRICSのGDP合計が42兆ドル、世界のGDPの31.5%に達するのに対し、G7は41兆ドル、30.7%となる。この傾向は今後も続くと予想される。ブルームバーグは国際通貨基金(IMF)の最新データに基づき、2023年にはG7のGDPシェア29.9%に対しBRICSは32.1%を占めるだろうと伝えている。
BRICSは2014年、世界銀行とIMFに代わる独自の銀行、新開発銀行(通称BRICS銀行)を立ち上げた。欧米が支配する世界銀行やIMFからの資金援助には、イデオロギーの整合や経済・政治的な構造調整の口実が伴うことが多い。ブラジル大統領でBRICSの創設メンバーであるルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ氏の説明によれば、同氏が「各国の経済を窒息させる」と非難したIMFとは異なり、「新開発銀行は、貧困や不平等が少なく持続可能な世界を作るという観点から、BRICS諸国のパートナーシップにより生まれたもの」である。中国外務省の報告によると、BRICS銀行は「インフラ事業を中心に99件、総額340億ドル以上の融資案件を承認した」という。
だがBRICSの意義は、その経済的影響にとどまらない。BRICSはもともと、国際情勢における米国の覇権主義に対する対抗手段として構想された。両者は互いに相容れないものではなく、いくつかのBRICS加盟国は、米国の覇権主義から自らを解放する仕組みとしてBRICS通貨を要求している。
BRICS加盟国は、ロシアのウクライナ戦争に対する世界の対応や多極化の推進など、世界情勢に大きな影響を及ぼしている。ブラジルのルラ大統領は、米国がウクライナで「平和を語る」のでなく「戦争を奨励している」と批判している。同大統領はウクライナの和平を仲介する中国の提案を「前向きに受け止め」、BRICSメンバーも含めた共同の取り組み、すなわち「平和クラブ」を提案し、多極化を支持することで米国に挑戦した。ブラジルは、米国とともにロシアを制裁することも、国連でロシアに反対票を投じることもしていない。
ルラ氏は、多極化と「公正で公平な国際秩序」を強く推進してきた。「多国間主義」を求め、「BRICSやその他の多国間機関」を強化するよう求めてきた。
ルラ氏はまた、「BRICS銀行がブラジルと中国、ブラジルと他のBRICS諸国との貿易に融資する通貨を持つ」よう提案している。各国が「自国通貨で輸出できるのに、輸出のためにドルを追い求める」よう強いられないためにである。
インドも国連でロシアを非難することを拒否している。ロシアを制裁するどころか、ロシアからの輸入、とくに石油の輸入を増やし、ロシアをインドの輸入相手国として18番目から4番目に昇格させた。ナレンドラ・モディ首相は「ロシアとインドの関係は著しく改善された」と述べ、インドは最近、ロシアとの関係を「現代における世界の主要な関係の中で最も安定したものの一つ」と呼んでいる。
インドは「多極世界へのコミットメント(関与)」を改めて表明している。BRICSのパートナーであるブラジルと同様に、インドはルピーによる貿易を促進し、ロシアの石油の一部をロシアルーブルで購入し始めることで、米ドルの地位低下を図っている。
中国は国連で外交的に、また経済的にもロシアを支援し、制裁体制からの出口を提供している。中露貿易は年間1900億ドルにまで膨れ上がっている。中国の習近平国家主席は「ロシアと中国のパートナーシップの特別な性質を再確認」しただけでなく、「戦略的パートナーシップと新時代を迎える二国間関係の深化に関する声明に署名」した。
南アフリカは、制裁体制への参加を求める米国の圧力をはねのけ、国連でロシアに対する投票を棄権している。2月には中露との合同軍事訓練を自国沿岸で行った。南アフリカ国防軍は、この訓練は「すでに栄えている南アフリカ、ロシア、中国の関係を強化する手段」だと述べている。
南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は、戦争における交渉を求める反対派に加わって米国を批判し、「NATOの東方への拡張は、この地域の不安定さを減らすどころか、より大きくすることになるという、長年にわたる自国の指導者や当局者の警告を聞いていれば、戦争は避けられただろう」と述べている。
BRICSの他のパートナーたちと同様に、南アフリカも多極世界を求め続けてきた。
規模も経済力も大きくなったBRICSは、多極世界を求めるグローバル・マジョリティ(多数派)の声を増幅させている。
How Big Is BRICS? - Antiwar.com Original [LINK]
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