金融機関が経済・政治への支配力を強める現象は、資本主義の自然な発展の結果ではない。それは政府が財政・金融政策で市場経済の規律を大きく損なったために起こった。具体的には金融機関の救済や、金利を押し下げ、通貨供給量を増やす中央銀行の政策を通じてである。
Tho Bishop, ed., Anatomy of the Crash: The Financial Crisis of 2020
中央銀行は「最後の貸し手」として、金融業界にたやすく流動性を注ぎ込める。投資家はこれに促されて、リスクの高い活動に手を出す。金融危機になれば救済してもらえそうだと事前にわかっていなければ、そこまでリスクの高い投資はしないだろう。
Tho Bishop, ed., Anatomy of the Crash: The Financial Crisis of 2020
米国の金融規制緩和の後、それは金持ちにとって必ずしも楽ではないことがわかった。1984年にコンチネンタル・イリノイ銀行が米国史上最大の破綻に瀕し、1987年に株価が暴落した。ところがどちらも政府・中央銀行が救済したため、リスクの高い投資への警鐘にならなかった。
Tho Bishop, ed., Anatomy of the Crash: The Financial Crisis of 2020
金融機関が政治・経済への支配力を強める現象は、文化の変化や、資本主義の進化の結果だというマルクス主義の主張では十分説明できない。問題の根幹は、投資家階級に大きな利益と小さな損失を与えようとする、政府の介入である。
Tho Bishop, ed., Anatomy of the Crash: The Financial Crisis of 2020
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