ファミリーレストラン大手のサイゼリヤは、再来年9月までに全国のすべての店舗を原則として禁煙とする方針を固めました。
厚生労働省が2020年の東京五輪までに受動喫煙対策を強化する法改正を検討しています。NHKの報道によれば、サイゼリヤでは、客席の禁煙化には改装などに費用や時間がかかるため、国の規制が正式に決まる前に対応方針を固めたものとみられます。
一方、コンビニ大手のミニストップは先週、成人向け雑誌の取り扱いをやめると発表しました。12月1日から本社のある千葉市内の43店でとりやめ、来年1月1日から全国の約2200店に広げます。
ミニストップの発表によると、成人誌の陳列対策に取り組んでいた千葉市からの働きかけをきっかけとして、取り扱いの中止を判断したといいます。
全面禁煙にせよ、成人誌の販売中止にせよ、個々の企業が自主的な判断で実行するのであれば、問題ではありません。喫煙したい利用客は喫煙できる他のレストランに行けばいいし、成人誌を買いたい消費者は売っている他のコンビニに行けばいいからです。
しかし実際にはそうではありません。サイゼリヤやミニストップの例が示すように、背後に政府・自治体の方針や圧力があります。そうだとすれば、1社や2社でとどまる話ではなく、すべての同業他社に広がる恐れがあります。実際、外食産業ではすでに全面禁煙が広がりつつあります。
喫煙や成人誌を不快に感じる人もいるでしょう。いや、むしろそう感じる人が社会の多数派でしょう。しかし、不快に感じても少数派の存在を認めることが、真の寛容のはずです。
もし日ごろ「ダイバーシティ」を声高に唱える人やメディアが本当に寛容や多様性を大切だと考えるのなら、愛煙家や成人誌愛読者の権利を脅かす動きに反対の声を上げるはずです。
けれども残念なことに、そうした声は聞こえません。日本で叫ばれる寛容のすすめとは、しょせんその程度の底の浅いものなのでしょう。(2017/11/28)
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