世界的に著名な起業家が出した答えは「それなら自分たちの国をつくり、そこに移り住めばいい」という大胆極まるものです。
米決済大手ペイパル創業者で大富豪のピーター・ティール氏らが創設した非営利団体、海上居住研究所(Seasteading Institute)は2020年、南太平洋のタヒチ沖に世界初の海上国家を建設する予定です。
同研究所は今年初め、仏領ポリネシア政府から人工島建設の同意を得ました。建設はまもなく始まります。ニューヨーク・タイムズの記事によれば、2020年までに新国家の核となる10を超す島をつくって住宅やホテル、オフィス、レストランを建て、人が住めるようにする計画です。
およそ6000万ドル(約68億円)の費用は、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)で集めるそうです。
同研究所所長のジョー・カーク氏は「2050年には島を数千に増やし、それぞれが都市として独自の統治を行えるようにしたい」と話します。同氏は既存国家の政府について「改善がない」と批判します。「過去数百年、進歩がない。土地は暴力で独占したくなるからだ」
まるでSF小説のような海上国家が成功するかどうかはまだわかりません。けれども、世界を根底から変える可能性を秘めた試みであることは間違いありません。起業家の使命が旧来の発想を疑い、代替案を提示することだとすれば、まさにその王道を行く挑戦といえます。
海上国家が出現する2020年といえば、東京五輪が開かれる年です。五輪もいいでしょう。けれどもスポーツを既存国家の枠にはめ、あわよくば政治や利権に利用しようとする発想から新しい世界が生まれるとは思えません。(2017/11/16)
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