1人あたりの徴収額は1000円を見込むそうです。観光庁はこれくらいなら大丈夫と考えているようですが、格安航空会社(LCC)の利用客や若者の旅行者には無視できない金額でしょう。肝心の来日客が減ってしまったら元も子もありません。
出国税は欧米にもあるそうですが、税金の場合、欧米でやっているからまともだとはいえません。歴史上、日本顔負けの愚かな税を数多く導入してきたからです。英ニュースサイト、キャップXで英国史上有数の愚かな税を紹介しています。
1712年に導入された「壁紙税」。当時、上流・中産階級の間で人気となった、色や模様付きの壁紙を標的にしました。
税導入の結果、非課税の無地の紙を買い、自分で彩色・彩画する人が続出。税は壁紙作りに余計な時間を取らせ、経済全体の効率を悪化させました。
1696年に導入され、150年以上も続いた「窓税」。これも富裕な市民が標的です。窓が10個以上ある建物が課税の対象となりました。税を逃れるため、多くの家が窓をれんがで塞ぎます。
政府の意図に反し、窓税で一番苦しむことになったのは借家人として入居する貧困層でした。小さい家、窓の少ない家が増えた結果、暗くて狭い住環境を強いられたのです。
「帽子税」もあります。1784年から1811年まで、特別売上税の対象になったのです。当時、帽子は壁紙や窓と同じく、金持ちの贅沢品とみられていました。
帽子屋は課税を逃れるため、帽子の呼び名を「かぶり物(headgear)」に変えました。政府は帽子の法的な定義を見直さざるをえなくなります。法律専門家が大まじめで帽子の定義に貴重な時間を割かなければならないとは、どうみても無駄です。
日本の出国税にも、海外旅行は贅沢だから課税するという時代錯誤な感覚を感じます。愚かな税として社会に迷惑を及ぼし、将来恥をかかないよう、今のうちに撤回してはどうでしょうか。(2017/11/04)
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