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2026-01-27

お金は国家の産物か?

お金の起源を巡る論争において、オーストリア学派の創始者カール・メンガーは、お金は国家の法律や社会契約から生まれたのではなく、市場における個人の自発的な交換から自然発生したと説きました。この「市場起源説」は、金利やインフレの本質を考える上でも極めて重要な視点を提供しています。

メンガーによれば、原始的な物々交換には「自分が欲しいものを持つ相手が、たまたま自分の持つものを欲しがっている」という奇跡的な一致が必要で、非常に効率が悪いものでした。そこで人々は、希少性、分割可能性、耐久性、そして誰もが欲しがる「交換のしやすさ」を備えた特定の「商品(金や銀など)」を、自分で消費するためではなく、次の交換のために一旦手に入れるようになりました。これが「間接交換」の始まりであり、その便利な商品が社会全体に普及したものが「貨幣(お金)」となったのです。

この理論を補強したのが、後継者ミーゼスの「回帰定理」です。貨幣の現在の価値は、昨日の価値に基づいています。この連鎖を過去へと遡っていくと、最終的にはお金がまだ単なる「便利な商品」として直接交換されていた「物々交換の最後の日」に到達します。つまり、お金の価値の根源は、国家の保証ではなく、その商品がかつて持っていた実物としての価値に根ざしているのです。

一方で、「メンガーの説には具体的な歴史的証拠がない」という批判もあります。しかし、メンガーは逆に「国家がお金を作った」とする説(表券主義)こそが非歴史的だと反論しました。もしお金の誕生が国家の命令や公的な合意による大事件であったなら、記録を重んじる人間社会において、その歴史的瞬間がどこにも記されていないのは極めて不自然だからです。

ここで注目すべきは、二つの説が求めるべき証拠の基準が根本的に異なるという点です。国家による貨幣創設は制度的な大事業であり、記録がないことは説としての致命的な欠陥となります。一方、メンガーが説くプロセスは、名もなき個人による日々の自由な取引の積み重ねです。あまりに日常的で分散的な民間の営みゆえに、わざわざ歴史に刻まれなかったことこそが、お金が「下からの秩序」として自然に立ち現れた何よりの証拠だと言えるのです。お金はトップダウンの命令ではなく、人々の自由な経済活動から生まれた知恵の結晶なのです。

(Geminiで要約)
Menger versus Chartalism: Standards of Empirical Evidence | Mises Institute [LINK]

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