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2025-11-21

ディープステート解体への道

動画「How Executive Power Can Dismantle the Deep State | Patrick Newman」[LINK] は、ミーゼス研究所のフェローであるパトリック・ニューマン博士によるマレー・ロスバード記念講演の様子です。


本講演は、アメリカの「ディープ・ステート(影の政府)」を解体するために、いかに行政府の権限を活用すべきかという戦略を、歴史的な事例(特にジャクソン主義)を通して論じるものです。

以下に講演の要点をまとめます。

1. 過去40年間の政府縮小の試みが失敗した理由

1980年代以降、ロナルド・レーガン、ティーパーティー、ドナルド・トランプ政権など、保守派やリバタリアンによる連邦政府の権限削減の試みはことごとく失敗してきました [03:44]。

  • 結果: 政府支出は対GDP比で増加し、連邦債務は増加し続け、規制の総ページ数も増大しました [05:17]。

  • 真の障壁: これらの試みが失敗した原因は、ディープ・ステート(Deep State)、すなわちワシントンD.C.周辺に集中する特権的なロビイスト、官僚、政治家からなる「既得権益層」の存在にあります [06:40]。彼らは無制限な権力を行使し、変革に抵抗し、国民の利益ではなく強力な特定利益団体への「クロニズム(縁故主義)」に加担しています [08:09]。

2. ジャクソン主義:成功した唯一のリバタリアン戦略

ニューマン博士は、アメリカ史上、政府の規模と権限の削減に唯一成功したのは、1830年代のジャクソン主義者たちアンドリュー・ジャクソン、マーティン・ヴァン・ビューレン、ジェームズ・K・ポークなど)であると主張します [03:04]。

彼らは当時の「ディープ・ステート」である「アメリカン・システム」(中央銀行、保護関税、連邦政府による国内改良事業)を解体しました [17:47]。

  • 中央銀行の破壊: 第二合衆国銀行(当時の連邦中央銀行)の再認可に拒否権を行使し [26:50]、連邦預金を強制的に引き出して中央銀行制度を崩壊させ、独立財政制度を確立しました [19:07]。

  • 関税の引き下げ: 関税率を約40%から約20%まで引き下げ [19:28]、自由貿易の時代を到来させました。

  • 効果: これらの改革は、後のアメリカにおける最初の産業革命Industrial Revolution)を促す要因となりました [22:55]。

3. ジャクソン主義者の「実行マニュアル」(The Playbook)

ジャクソン主義者が成功したのは、議会(立法府)ではなく、行政府の権限をフル活用して改革を進めたからです [25:13]。

  1. 拒否権(Veto Power)の積極利用: それまでほとんど使われなかった拒否権を、保護関税や国内改良事業などのクロニズム(縁故主義)法案を攻撃するための主要な手段として活用しました [26:17]。

  2. 大統領令(Executive Orders)による規制機関の解体: 大統領令を用いて、議会が支持する中央銀行からの預金引き出しを断行するなど、議会の抵抗を回避しながら規制を解体・執行しました [27:18]。

  3. ポストの入れ替え(Rotation in Office): 官僚機構を既得権益とみなし、定期的に職員を入れ替えることで、官僚の長期的な既得権益化を阻止しようとしました [28:47]。

4. 現代への応用:ディープ・ステート解体への道

ニューマン博士は、現代において意味のある改革を達成する最も可能性の高いルートは、行政府の権限に焦点を当てることであると結論付けています [13:37]。

  • 財政削減戦略:

    • 拒否権の活用: 議会が特殊な利権法案を多数詰め込む「オムニバス法案」や継続予算決議(CRs)を拒否することで、予算を個別の法案に分解し、無駄な支出を削減しやすくする [34:03]。

    • 予算の差し止め(Impoundment): 大統領が議会が割り当てた予算の一部を支出しない権利を行使し、政府支出を抑え込む [40:51]。

  • 規制緩和戦略:

    • 規制庁の制御: 大統領令により、独立規制機関(IRA)が主要な規制を通過させる際に、ホワイトハウスの管理下にある行政管理予算局(OMB)の承認を義務付ける [46:24]。

    • 「1つの規制につき10の規制を廃止する」といったルールを課し、規制の純コストを毎年ゼロ未満にするよう求める [47:45]。

  • 官僚機構の解体:

    • 内部からの解体: 大統領が連邦政府の部門に、リバタリアンの価値観を持つ人材をトップとして任命し、内部から官僚機構の規模と権限を縮小させる(例:教育省の解体への取り組みなど) [49:16]。

ニューマン博士は、この戦略には腐敗のリスクも伴うことを認めつつ [56:32]、過去の戦略が失敗してきた現状において、これは「今、この場で自由を達成する」ために最も現実的で成功の見込みがある唯一の戦略であると締めくくっています [55:09]。

(Geminiを利用)

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