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「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2025-11-13

戦争の嘘

本稿は、退役軍人の日に寄せて「戦争の嘘」を記憶すべきだと訴える論考である。著者は、政治家が兵士を称賛しながら実際には彼らを裏切ってきたと指摘する。第一次世界大戦では、ウィルソン大統領が「民主主義のため」と偽り、言論弾圧と強制徴兵で十数万の若者を死地に送った。戦後の平和もヴェルサイユ条約で破壊され、混乱はヒトラーやレーニンを生んだ。以後も米国はポークの対メキシコ戦争、マッキンリーのフィリピン支配、ルーズベルトの戦争介入、ジョンソンのベトナム拡大、ブッシュ父子の中東侵攻など、虚偽を口実に戦争を繰り返した。結果、何十万もの兵士が「名誉」の名で無益に犠牲となった。著者は、真に退役軍人を敬うとは、為政者が安易に海外派兵を行う権限を奪うことだと主張し、次の「無意味な流血」を防ぐ唯一の道は、兵士が命を捧げた嘘を忘れないことであると結んでいる。
On Veterans Day, Remember the Lies That Filled Military Cemeteries | Mises Institute [LINK]

本稿は、アメリカの外交史家ポール・シュローダー(1927–2020)の著作『America’s Fatal Leap, 1991–2016』を評したものである。シュレーダーはリバタリアンではないが、欧州外交史の泰斗として「システムと構造」から国際秩序を理解した。彼の主著『ヨーロッパ政治の変容』で描かれた「ウィーン体制」や「協調のヨーロッパ」は、列強が相互調整によって平和を保つ成功例とされ、アメリカの一方的介入主義と対照的である。9.11後の「対テロ戦争」やイラク侵攻を彼は「冷静さを失った犯罪的誤り」と断じ、テロ問題は関係諸国による協議で解決すべきだったと主張した。遅延と熟慮こそ歴史の原理であり、過剰反応は敵の思うつぼだと警告する。アブグレイブ虐待事件に対する無反省な国民心理を彼は「嘔吐すらできぬ病」と批判した。シュレーダーは構造的思考と歴史的洞察により、米国外交の傲慢と道徳的退廃を鋭く告発したのである。
Keep Your Schroeder to the Wheel | Mises Institute [LINK]

トランプ大統領はヴェネズエラ沖に最新鋭空母ジェラルド・R・フォードを派遣し、同国政府へのCIA秘密作戦を承認した。名目上は「フェンタニル密輸阻止」のためとされるが、DEAなどの公式資料によれば、米国に流入する違法フェンタニルの大半はメキシコで製造され、米国南部の合法的国境通過で運び込まれており、ヴェネズエラ経由ではない。したがって、海上作戦の「麻薬対策」説明は虚偽である。実際には、エクソンモービルなどが係争海域の油田開発を狙い、反マドゥロ勢力やマルコ・ルビオ国務長官ら「体制転覆派」、さらに軍需産業がそれぞれの利益を求めて介入を後押ししているとされる。著者は、この行動が「麻薬戦争」を装った新たな侵略であり、もし政権転覆が国益にかなうと信じるなら、政府は正直にその理由を国民に説明すべきだと批判している。
The Trump Administration Is Lying Us Into Another War | Mises Institute [LINK]

本稿は、1959年のキューバ革命以降、米国が60年以上続けてきた対キューバ経済封鎖の歴史と影響を概観する。革命以前、米国企業とマフィアはキューバ経済と観光を支配し、バティスタ独裁を支援していた。革命政権が土地改革と国有化を進め、米国資本を排除すると、アイゼンハワー政権は断交とCIAによる転覆工作を開始、ケネディ政権下で全面禁輸措置が発動された。以後、各政権は禁輸を強化し、レーガン政権はキューバを「テロ支援国」に指定、クリントン政権はヘルムズ=バートン法で第三国企業にも制裁を拡大した。オバマ政権が一時的に関係正常化を試みたが、トランプ政権は制裁を再強化し、再びテロ支援国指定を復活させた。国連総会では33回にわたり封鎖解除を求める決議が圧倒的多数で可決されたが、米国は拒否を続けている。筆者は、自由貿易を信奉したミーゼス派経済学者マレー・ロスバードの立場を引き、国家の主権と自由貿易の原則に基づき、対キューバ禁輸は即時撤廃されるべきだと論じている。
A Brief History of the Enduring American Embargo against Cuba | Mises Institute [LINK]

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