まず、ヤフーニュースで上智大の前嶋和弘教授が指摘するように、米国で銃が殺人件数を増やしている証拠はありません。銃の販売数が増加するにつれ、殺人率はむしろ低下しています。
次に、これも前嶋教授が述べるとおり、徹底した規制を行なっても、結局従うのはまともな人だけです。ギャングなどの組織犯罪は法の網をかいくぐります。高所得者だけが闇で取引される高価な銃を手に入れ、それほどお金のない人は自衛の手段を事実上奪われます。
3つめに、かりに市民の銃保有を禁止し、警察など政府組織だけに認めたとして、本当に市民の安全を守れるのでしょうか。元裁判官でコラムニストのアンドリュー・ナポリターノ氏が言うように、米政府は憲法で禁止されているはずの大量監視を行っているにもかかわらず、今回のラスベガスを含め、銃乱射事件の未然防止にしばしば失敗しています。
最後に、政府が銃保有を独占し、市民が丸腰になることの危険です。スペインのカタルーニャ州の独立を問う住民投票に対し、スペイン政府の警官隊は銃で市民を脅かし、阻止に動きました。政府の銃はつねに市民を守るために使われるとは限らないのです。
合衆国憲法修正第2条が保障する銃所持権の根底には、政府が暴走して市民の自由を抑圧した場合、市民は武装してそれと戦う権利があるという、英哲学者ジョン・ロックに由来する「抵抗権」の考えがあります。銃規制を叫ぶ前に、その背景にある歴史や思想をきちんと理解する必要があります。(2017/10/09)
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