ロゴフ教授といえば、現金は脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用され、金融政策の妨げにもなるとして、現金廃止を唱えていることで有名です。今回、プロジェクト・シンジケートのサイトに寄稿した「予言」は、その持論を踏まえたものです。
同教授は仮想通貨の隆盛に触れた後、「ビットコインが中央銀行の発行する貨幣に取って代わると考えるのはばかげている」と切り捨てます。政府が仮想通貨で小口の匿名取引を認めることは望ましい。けれども大口の取引は別の話だと言います。徴税や犯罪対策がきわめて難しくなるからです。
そのうえでロゴフ教授は「もしビットコインが匿名性を奪われたら、現在の価格水準を正当化するのは難しいだろう」と突き放します。
まるで大口の匿名取引を利用する者は全員犯罪者だと言わんばかりの、ロゴフ教授のいつもの調子には辟易します。それでもその主張が冷厳な事実を含むことは否定できません。
同教授によれば、中央銀行が自分の仮想通貨を作り、規制を都合よく利用して勝者の座に収まる可能性も大いにあります。歴史上、民間が新たな通貨を考案するたびに、政府はそれを規制し、やがて乗っ取ってしまいました。「仮想通貨が同じ運命をたどらない理由はない」
仮想通貨のメリットの一つである匿名性は、少しでも多くの税金を取りたい政府にとってしゃくの種です。できることなら民間の仮想通貨を駆逐し、たとえばマイナンバーと紐づいた、プライバシーなどないに等しい官製仮想通貨に置き換えたいことでしょう。ただし、それが国民の幸せかどうかは別の話ですが。(2017/10/11)
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