北朝鮮による核実験を受け、日米首脳は3日深夜、北朝鮮に対し「これまでになく強い圧力」をかけていくことで一致したと報じられています。これまで何度となく「圧力」という言葉を目にしましたが、事態はまったく好転しませんでした。どんなに圧力をかけようと、北朝鮮が命綱である核を手放すとは思えません。
北朝鮮が核に固執するのは、それが超大国である米国に屈しない唯一の手段だと考えているからです。背景の一つは、8月29日の投稿で述べた1962年のキューバ危機ですが、それだけではありません。もっと最近、核を持たず敗れた権力者たちが悲惨な最期を遂げたことがあります。
イラクのフセイン元大統領は2006年12月、死刑確定からわずか4日後に絞首刑に処され、死刑制度に反対する欧州連合(EU)各国や人権団体などから非難の声が上がりました。逮捕や裁判が米中間選挙の直前に行われたことから、劣勢だった共和党政権の選挙対策に利用されたとの見方もあります。
リビアの最高指導者だったカダフィ大佐は2011年10月、欧米の支援を受けた反政府勢力に身柄を拘束された直後、死亡します。死亡の経緯はよくわかっておらず、惨殺されたとの情報もあります。意図的に殺害したとすれば捕虜に対し拷問や処刑を禁じたジュネーブ条約違反だとして、批判されました。
金正恩委員長をはじめとする北朝鮮の支配層にしてみれば、悲惨な末路をたどった独裁者らの轍は決して踏みたくないはずです。「窮鼠猫を噛む」という言葉もあります。圧力一辺倒がじつはポーズで、水面下で冷静な対話の道が探られていることを祈るばかりです。(2017/09/04)
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