元米中央情報局(CIA)アナリスト、ラリー・ジョンソン
(2023年3月26日)
「ルールに基づく国際秩序」という言葉を聞いたことがあるだろうか。米政府や北大西洋条約機構(NATO)によれば、ロシアは(中国も)そのルールに違反しており、罰せられなければならない。世界の平和を乱す「ルール違反者」がいてはいけないのだ。
LJ on the 'rules based order' 👍
— Cameron Leckie (@leckie_cameron) March 27, 2023
'this is the most important consequence of the proxy war between NATO and 🇷🇺 in 🇺🇦. The weak underbelly of 🇺🇸 has been exposed and no amount of threats or sanctions from Washington will change that reality'#auspolhttps://t.co/iosfOHaKdW
1945年以来、米国はさまざまな同盟関係、経済制度、安全上の利益、政治的・自由主義的規範、その他の手段(しばしば国際秩序と総称される)を構築・維持することによって、その世界的関心を追求してきた。……国際秩序の構築は、少なくとも1940年代以降、米外交政策の正式な政策であり、建国以来、熱望されてきた目標であった。第二次世界大戦後、それを構築してきた人々によれば、国際秩序とは、米国のような自由で民主的な社会の理想が花開く環境を維持することによって、米国の価値を守るものである。米国はルールに基づく秩序を構築するために、権力と、利害共有に関する理想主義的な考えの両方を利用してきた。この意味で、米国はハードパワーとソフトパワーの両方を駆使して秩序を構築してきたのである。(ランド研究所ウェブサイト)
おわかりいただけただろうか。いわゆる国際秩序とは基本的に米国が決め、外国がそれに従っているかいないかを勝手に判断する体系なのだ。ようするに、これらの「ルール」は、他国を犠牲にして米国の利益を促進するために設計されている。
ルールとは何か。それは「権威のある、定められた行動の指示であり、とくに立法機関の手続きを管理する規則や、ゲーム、スポーツ、コンテストで選手が守る規則の一つ」である。理論上は、このルールは誰にでも適用されることになっている。
バスケットボールを例にとり(米国で「マーチマッドネス(3月の狂乱)」が開催中なのでちょうどいい)、本物のルールが競技の場合にどのように機能するのか見てみよう。大学の試合は、40分、20分ハーフと決まっている。aなたがルール担当者なら、好きなチームに多くの点を取らせ、最後に勝たせたいからといって、プレー時間を勝手に与えることはできない。3ポイントラインの外からシュートを決めた選手は、自チームに3点が与えられる。ボールを持ち、ドリブルをせずに2歩以上歩いた選手はトラベリングとなり、ボールは相手チームに引き渡される。
世界秩序を促進するためのいわゆる国際ルールを見てみると、まったく異なる姿が浮かび上がってくる。米国は伝統的に、カジノで仲間が勝つように仕向ける不正なディーラーのように振る舞ってきた。その一例はこうだ。デモ隊が街頭に出て、米国が気に入っている政府を転覆させようとした場合、それは悪いことで、デモ隊は罰せられなければならない。しかし、その政府が米国の支持を失ったのであれば、デモ参加者は神の意志を遂行する神聖な存在であり、支持されなければならない。
イランはそのケースである。昨年10月、米国はイランでの抗議活動を応援し、その活動を鎮めようとしたイラン当局を罰した。
米国は水曜日(10月6日)、イランの全国的な抗議行動に対する弾圧を続けているイラン政府関係者に対して新たな制裁を科した。これは22歳のマフサ・アミニさんの死後、怒りを鎮めようとするイラン政府に対する米国の最新の反応である。アントニー・ブリンケン国務長官は声明で、「イランのいわゆる『道徳警察』に拘束された22歳のマフサ・アミニさんの死から40日が経過し、我々は彼女の家族およびイラン国民とともに、喪に服し反省する一日を過ごす」と述べた。「米国はイラン国民を支援し、イランで進行中の全国的な抗議行動に対する残忍な弾圧の責任者が責任を問われるようにすることに全力を尽くしている」と、ブリンケン長官は述べた。「本日我々は、国務省と財務省の共同行動として、5つの異なる権限を用いて14の個人と3つの団体を指定することを発表し、イラン政府のあらゆるレベルの責任を問うためにあらゆる適切な手段を用いるという我々のコミットメントを示す」(米CNN)
ジョージア(州ではなく国)についても同様だ。同国の議会が自国に対する外国の干渉を制限することを目的とした法律を可決した3月上旬、デモ隊が街頭に出て警察と争った。
グルジアの首都トビリシの警察は水曜日(3月8日)遅く、催涙ガス、水鉄砲、目つぶし閃光弾を使用し、「外国の代理人」法に反対する2日連続の抗議デモを解散させようとした。この法律は報道の自由を制限し、欧州連合(EU)加盟の候補となる国の努力を損なうと批判的である。(英ガーディアン紙)
その「暴力的な暴動」に対する米政府の反応はどうか。
ワシントンでは、国務省のネッド・プライス報道官が、デモ隊との連帯を表明した。「我々はジョージア政府に対し、平和的集会と平和的抗議の自由を尊重するよう求める」とプライス報道官は述べた。「我々はジョージアの人々と彼らの願いに寄り添っている」(同)
ジョージアの抗議活動の映像を見ると、平和的ではない。
2021年1月6日に米国で起こった、ドナルド・トランプ(前大統領)支持者が米連邦議会議事堂を取り囲んだ出来事とは、まったく対照的だ。トランプ支持者たちは、扇動に燃える暴徒として非難され、起訴され、投獄された。その日の証拠から、米政府のエージェント(およびアゾフ大隊の数人のウクライナ人メンバー)が群衆の中にいて、暴力にかき立てようとしていたことがわかる。デモ参加者たちが議事堂に入ると、暴力行為に参加した者はほとんどいなかった。しかしジョー・バイデン(大統領)に反対したために、卑劣な犯罪者として扱われている。(フォックス・ニュースの)タッカー・カールソン氏は、バイデン政権のプロパガンダに反撃した。
デモ隊への対応により欧州で広く非難されたイランは、議会の承認なしに年金の受給年齢を引き上げたことに怒るフランス市民に対するマクロン仏大統領の対応を大いに楽しんでいる。
イラン当局は、フランスでの大規模な抗議行動やストライキについてコメントした。イラン外務省のナセル・カナニ報道官によると、パリの当局はフランス国民の声に耳を傾け、「民主的権利を守る人々に対する野蛮な暴力的手段」を放棄すべきだとのことだ。(筆者ブログ)
デモに関するルールは、支援のために軍隊を派遣するよう要請されるか、攻撃を受けた場合を除き、外国で軍事活動を行わないという重大なルールに比べれば、小さなものである。米国とNATOは、ロシアはこのルールに大きく違反し、処罰されなければならないと主張している。ロシア側は、2014年以降ウクライナ政府から執拗な砲撃を受けたロシア語話者のウクライナ人を守るため、そしてNATOの国境への拡大に反対するために行動していると主張する。
ロシアも中国も米欧からの不満や怒りを一切信用しないのは、米国自身がベトナム、イラク、シリア、パナマ、旧ユーゴスラビア、ソマリア、アフガニスタンで軍事作戦を行ったという汚れた実績があるためだ。
ルールに基づく国際秩序に関する厳しい真実がここにある。それは米国によって第二次世界大戦後に作られた時代錯誤のものであり、崩壊しつつあり、バイデン政権はその終焉を早めるような政策を取り続けようとしている。
イスラエルから目を離さないでほしい。同国は、最高裁の権限を剥奪し行政府にその権限を集約する法律案をめぐり、抗議行動にさらされている。イスラエル国内の亀裂は深く、日に日に拡大している。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は今日、国防相を解任し、(米ニューヨークの)イスラエル総領事も抗議のため辞任した。
なぜ、このような話をしたのか。バイデン政権がこれらの抗議を「国際的なルールに従ったもの」として祝福するのか、それともネタニヤフ首相をそのルールに違反したと非難するのか、その合図がまだないためだ。
「ルールに基づく国際秩序」についての非難は、米国がもはや自国の意思を他国に押しつける力も能力も持っていないという事実を露呈している。中国、ロシア、イラン、サウジアラビア、インド、南アフリカなどは、この現実に目を覚まし、米国を脇に追いやるような、代わりの国際秩序の構築に奔走している。これがウクライナにおけるNATOとロシアの代理戦争の最も重要な帰結だと私は考えている。米国の弱点が露呈したのであり、米政府がいくら脅したり制裁したりしても、この現実を変えることはできない。
Understanding The International Rules Based Disorder - A Son of the New American Revolution [LINK]
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