コラムニスト、ソフラブ・アフマリ
(2023年3月21日)
20年前、米国主導の連合軍は、サダム・フセインの大量破壊兵器を廃棄し、アルカイダへの支援を停止し、イラク国民を解放することを公式目標として、イラクに侵攻した。本誌(アメリカン・コンサーバティブ誌)が当時、(ギリシャ神話の預言者)カサンドラのように警告したとおり、この戦争は歴史的な失敗となった。だから当然、戦争責任者であるジョージ・W・ブッシュは今、「責任ある」賢者としてメディアの輝きに浴しているし、反戦派のドナルド・トランプは刑事告発に直面している。
George Bush's Iraq invasion:
— Sohrab Ahmari (@SohrabAhmari) March 21, 2023
caused hundreds of thousands of deaths;
decimated the country's Christian community;
unleashed chaos in the Middle East;
gave rise to ISIS and the migrant crisis; and more.
But it's Trump who's facing a criminal indictment. https://t.co/wE9bUGyF20
ブッシュの戦争がもたらした結果を簡単に振り返ってみよう。数千人の米軍兵士が死亡し、イラク人の犠牲者は数十万人にのぼった。戦争は米国の納税者に3兆ドル、国民一人当たり約9000ドルの負担を強いた。大量破壊兵器は発見されなかった。サダムとアルカイダの関係は、ディック・チェイニー(元米副大統領)とその妻リンがウィークリー・スタンダード誌に書いたところによると、「深く、長く、広範囲に及ぶ」ものだったが、フェイクニュースであることが判明した。
ブッシュ政権は、侵攻直後の計画を立てず、イラクの貴重な考古学的遺産を破壊する略奪の乱痴気騒ぎを引き起こす条件を整えた。2003年4月、36時間にわたる略奪で、国立博物館から約1万5000点が持ち去られ、その半分以上がいまだに回収されていない。当時の国防長官ドナルド・ラムズフェルドは、「国中にそんなにたくさんの壺があっただろうか」と冗談を言った。
同じように指導と監督に失敗した結果、イラク郊外のアブグレイブにある米国経営の刑務所で起こったサディズムが綿密に記録されることになった。ニューヨーク・タイムズ紙が10年以上経ってから社説でまとめたように、そこでは、「米国人の管理下にあった被収容者は、レイプされ、殴られ、ショックを受け、裸にされ、食事と睡眠を与えられず、手首を吊られ、死の恐怖にさらされた」。ジェーン・メイヤーが(ニューヨーカー誌で)みごとに報告したあるケースでは、被拘禁者が殺害された。
もう一つの大失敗は、ブッシュ政権がサダム政権時代の党員を公務員から排除するために組織的に進めた「脱バース化」であった。その結果、重要な局面で統治能力を欠くイラク政府が誕生することは予想できた。さらに危険だったのは、将来の「イスラム国](IS)を形成することになる数十万人のスンニ派イラク人の没落と、恨みの増大である。
結局、イラクとシリアにおける「イスラム国」の台頭は、ブッシュ政権の足元から始まったと言わざるをえない。ブッシュ政権は、すでに繊細な民族や宗派の断層によって引き裂かれていた地域を揺るがし、その跡に統治されず、統治できない空間を残した。その結果、ヤジディ教徒がほぼ集団虐殺され、世界で最も古い歴史を持つイラクのキリスト教社会は言うまでもなく壊滅し、その人口は戦前の150万人から25万人にまで減少してしまった。イラクと政権交代の標的となったシリアの不安定な状況は、100万人の移民を欧州に送り込み、欧州大陸で10年間にわたる政治的混乱が続く舞台を整えた。
米国の傷痍軍人たちは、ブッシュ政権の手によって、ほとんど良い結果を得ることができなかった。ウォルター・リード陸軍医療センターでは退役軍人が長い待ち時間だけでなく、ゴキブリ、ネズミ、腐敗したカビに悩まされていることが、ワシントン・ポスト紙の暴露記事で明らかになった。ポスト紙が発見したように、この制度全体が、最も治療を必要としている人たち、つまり、記録がないためにイラク(およびアフガニスタン)での従軍を証明できないままになっている人たちの治療を拒否するように設計されているように思われたのである。
より大きな戦略的影響は、あまりにも身近なものである。地域的な対抗軸を取り除くことで、米国は結局イランに力を与えることになった。今日、テヘランはイラクの主要な外部勢力として機能している。文明の影響圏を信じるなら、これはそれほどひどいことではないのかもしれない。しかし米国人タカ派の論理に従えば、この結果は大失敗である。結局のところ、イランは「テロとの戦い」の勝者の一人になるはずはなかった。しかし、結果的にそうなってしまった。
このような事態を引き起こした大統領は、現在、有名なメディア関係者である。彼は絵を描き、その芸術的な取り組みを本にして出版し、広く賞賛を浴びている。ブッシュはプーチンの「残忍なイラク侵略」(ウクライナのことを指していた)と思わず本音を漏らし、他の人々とともに笑い、平然と前に進んでいる。一方、後継者のトランプは、久々に新たな戦争を起こさない大統領となった。
ニューヨーク州マンハッタンで刑事訴追を受けているのはブッシュではなくトランプであり、ブッシュやチェイニーを称賛するのと同じ体制派が着手した、トランプの行動に関する数十の捜査のうちの一つである。ポルノ女優に口止め料を払ったことで、トランプは刑事責任を問われるべきなのだろうか。私にはわからないし、気にもしない。なぜなら、トランプの犯罪がどのようなものであれ、それはジョージ・W・ブッシュの「合法的」犯罪に比べれば取るに足らないものだからだ。
A Criminal President - The American Conservative [LINK]
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