2023-03-29

米国に迫る屈辱的敗北

モニカ・ショウォルター
(2023年3月21日)

アジア・タイムズで「シュペングラー」として活躍するライター、デビッド・ゴールドマン氏は、ウクライナ紛争の終結を予見している。
ゴールドマン氏は最新のアジア・タイムズの記事で、外交政策関係者の内輪の考えに言及した。 

最近、レーガン政権からトランプ政権に至る米国の元高級軍人、情報機関関係者、学者の私的な集まりで、ウクライナのロシアに対する勝利の見込みについて暗い評価が示された。

ある参加者は、訓練された人材と弾薬が不足しているため、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、中国の和平案を検討するかもしれないと主張した。とくに、イランとサウジの紛争を北京がうまく調停した後では、そのようなことも考えられるという。

数十人の参加者は、その多くが閣僚や副閣僚の経験者であり、参加者個人の特定を禁じながらも、内容自体の提示を認める「チャタムハウスルール」に則って会合が行われた。
 
参加者の多くは、ウクライナがロシアを撃退できるまで物資を供給し続けるというバイデン政権の強引な姿勢を支持していたが、数字上は有利でなかった。ロシアは人員、資源、資金、そして中国やインドといった他の大国との同盟関係において、ウクライナよりもはるかに大きな存在だった。しかしその会議の最後に、ウクライナ軍のほとんどが死亡し、米国が訓練した優秀な兵士も戦死していることを指摘する小さな声が聞かれた。ウクライナの勇敢さは本物だったが、ロシアは圧倒的な戦力によって戦争に勝つことができた。南北戦争で北軍が南軍に勝ったのと同じ理由で、南軍には有能でやる気のある兵士がたくさんいたにもかかわらず、である。

ゴールドマン氏は5月、PJメディアでウクライナの分割は避けられないと書いた。

私は2008年に、また以下に再掲したPJメディアの2014年2月のメモを含む、その後の多くの場面でこう主張した。ウクライナにおける行動の流れは明らかに、チェコやスロバキアが行ったように、国民に分離独立を求める投票を許可することだった。しかし米国は、ウクライナがロシアにとってレッドライン(越えてはならない最後の一線)であることを知りながら、北大西洋条約機構(NATO)という選択肢を残すことを選んだ。プーチン(露大統領)が性悪な人物であろうとどうでもいい。プーチン氏はロシアの国益を明確に理解している、予想どおりの性悪な人物であり、ウクライナのNATO加盟候補に対する同氏の反応は完全に予想どおりであった。

三カ月間、ロシアが崩壊するという予測がほぼ一様にメディアで流された後、現在、ロシア軍がドンバス地方を支配するところまで来ているようだ。ロシア軍を撤退させることは、不可能ではないにせよ、困難であろう。その結果、先週のダボス会議でヘンリー・キッシンジャー(元米国務長官)が示唆したように、(最終的には)ウクライナがロシアに領土を譲り渡すことで和平が実現するだろう。「プーチン・ヒトラーに譲歩してはいけない」という美辞麗句は、その取引を行うときに、自分たちをよりみすぼらしく感じさせるだけである。米国はみすぼらしいと感じるべきなのだ。我々はこれを壮大なスケールで台無しにしたのだ。

それは陰鬱な内容で、結論はさらに不穏なものだった。----米国はまたしても屈辱的な敗北を喫し、ロシアを勝たせ、中国に仲裁を任せるべきだということだ。というのも、米国はベトナム戦争後のように、重要な潜在的紛争に対して戦略を練り直し、再考する必要があるからだ。世界の偉大な超大国はもはや存在しない。それはジョー・バイデン(大統領)の仕業である。

今月初め、フーバー研究所のサイトで、ゴールドマン氏はこう指摘した。

最も可能性の高い結果は、屈辱的な休戦である。逆説的だが、それは米国の長期の利益につながるかもしれない。北ベトナムは、ソ連より先に米国に屈辱を与えることで、米国に恩恵を与えた。1950年代後半から米国の軍事立案者が抱いていた、限定戦争という幻想を破壊した。1975年のベトナムからの屈辱的な撤退は、1977年のハロルド・ブラウン国防長官の時代からレーガン政権に至るまで、米国の軍事戦略を根本から見直すことを可能にした。米国は近代的な航空電子機器と精密兵器を製造する防衛技術の革命を行い、1970年代初頭にロシアが通常兵器で享受していた優位性を逆転させた。1982年のベッカー高原航空戦と戦略防衛構想の開始により、ロシア軍は米国に技術的に追いつけないという結論に達した。

民主主義を輸出するというユートピア的な幻想が、アフガニスタン、イラク、リビア、シリア、最後にはウクライナに至るまで、米国の過去一世代の大失態をうながした。冷戦を勝利に導いた技術的優位の追求に立ち戻るには、ベトナム戦争のような規模の国家的屈辱が必要なのかもしれない。

これらはすべて、地理、歴史、人間性について深い知識を持つ、驚異的な予言者であるゴールドマン氏の印象的なエッセイである。ゴールドマン氏が話した政府高官たちが、同氏が予見していたことに今になって賛同していることは、同氏の「壁に書かれた世界の文字」(王の宴会中、手が現れて壁に文字を書き、暗い未来を予言したという旧約聖書のエピソード)を読む能力の高さを証明するものである。

三つのエッセイはいずれも一読の価値ありだ。 

It slowly dawns on the West that Ukraine is not going to win - American Thinker [LINK]

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