社会活動家、ギャビン・オライリー
(2023年3月11日)
イランとサウジアラビアが7年ぶりに二国間関係を回復したという金曜日(3月10日)の発表は、ペルシャ湾における地政学的な大きな進展となった。
この地域の二大勢力として、イランとサウジは過去10年間、シリアとイエメンの紛争で反対する立場をとっており、その結果、サウジによるイスラム教シーア派聖職者ニムル師の処刑を受けて、2016年1月に外交関係を解消するほどの緊張状態にあった。サウジとイランは、イスラム世界におけるスンニ派、シーア派それぞれの支配者と考えられている。
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— Ron Paul Institute (@RonPaulInstitut) March 11, 2023
このため両国の国交回復により、過去20年間紛争が絶えなかったこの地域の安定が期待さ れる。
また、西アジアにとどまらず、中国が仲介することで、新たに多極化した世界秩序が確立されることを意味する。サウジは米国にとって重要な同盟国であり、この地域の貿易パートナーでもある。サウジが中国の勢力圏に入りつつあると感じた米国が、西アジアでの覇権を維持するためにサウジの体制転換を狙う可能性を示しているかもしれない。
実際、このような事態には歴史的な前例がある。
1979年7月、当時の米カーター政権は、米中央情報局(CIA)の極秘作戦であるサイクロン作戦を開始する。この作戦では、ムジャヒディン(イスラム聖戦士)と呼ばれるワッハーブ派の過激派に武装、資金提供、訓練を行い、1978年の四月革命後にソ連の影響下に入った、それまで西側と友好関係にあったアフガニスタンの社会主義政府に戦争をしかけようとするものであった。
サイクロン作戦が開始される5カ月前には、米国と英国が支援するパーレビ国王を倒したイスラム革命により、同じく欧米の同盟国であったイランがホメイニ師の指導下に置かれる。米国の覇権を脅かすイラン革命は、ホワイトハウスがアフガンのムジャヒディンを武装させ、西アジアにおける米国の影響力の低下を防ぐとともに、ソ連を高くつく誤った軍事行動に巻き込むことを決定した重要な要因である。
米国が、サウジが自国の勢力圏から中国の勢力圏に入りつつあると感じ、体制転換に踏み切った場合、その第一歩として、サウジの隣国イエメンに対する残虐な戦争に関する企業メディアの報道を大きく見直す可能性がある。
2015年3月、イエメンの首都サナアをアンサール・アラー(シーア派武装勢力フーシ)が占拠した後、サウジはハディ政権を復活させるために空爆を開始する。
米国と英国が供給する爆弾を使用し、両国の軍事顧問が標的の選定を支援するなか、サウジは過去8年間にわたりイエメンの農業、医療、水のインフラを破壊し、アラビア半島で最も貧しい国であるイエメンに、広範囲な飢餓と史上最悪のコレラ発生をもたらした。サウジの封鎖によって食料や医療品の入国ができなくなり、状況はさらに悪化した。
サウジの作戦は残虐であるにもかかわらず、過去8年間、企業メディアはほとんど報道してこなかった。サウジと欧米の間で有利な武器取引が行われていることや、サウジがこの地域のイランに対する防波堤として利用されており、テヘランがフーシに軍事援助を行っていると長年非難されていることが理由である。
しかし中国が仲介したサウジとイランのデタント(緊張緩和)が、米国とサウジの間に緊張をもたらし、特に湾岸諸国が米国ではなく中国から武器を購入することになった場合、西側メディアの間にイエメン情勢に対する新たな懸念が生まれるかもしれない。そこで始まる報道は、昨年2月にロシアが介入したウクライナ紛争を、それまで8年間、ほとんど報じていなかったにもかかわらず、突然報道したのと同じようなものだ。
イエメンにおけるサウジの戦争犯罪を報道することで、米国寄りの指導者を政権に就かせることを意図した、サウジにおけるカラー革命の試みに道を開くことになるかもしれない。
実際、このような試みは現在イランで行われており、米国は傀儡政権を樹立するために「イランの野党」に武器を供給している。米国の同盟国イスラエルの政府はすでにイランとサウジの協定に反対を表明しており、ペルシャ湾の反対側で同様のことが起こるのは時間の問題だろう。
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Will Regime-Change Now Come to Riyadh? [LINK]
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