ジャーナリスト、ニック・タース
(2022年5月19日)
2018年3月29日の無人機攻撃で、イエメン政府の公務員アデル・アル・マンタリは左半身に重度の火傷を負い、股関節を骨折。左手の腱、神経、血管に深刻な損傷を負った。歩くことも働くこともできなくなり、治療のために借金を抱えた。8歳と14歳だった娘は、父の世話をするために学校を退学した。
AP通信などの調査によると、2018年の攻撃の犠牲者は、米国防総省の主張するアルカイダの「テロリスト」 ではなく、民間人だった。3月には二人の上院議員が、アル・マンタリ氏に障害を負わせた攻撃のほか、イエメンでの他の11の米国の攻撃について、新たな調査を開始するよう国防総省に要請した。
犠牲者の家族、ジャーナリスト、人道支援団体によれば、リビア、ソマリア、シリア、イエメンなどで、米軍は民間人の犠牲者をいつも過小評価している。長年にわたり、ジャーナリストやNGOによる暴露は、国防総省に攻撃を再調査させ、限られたケースにせよ民間人の殺害を認めさせるのに必要だった。
昨年ニューヨーク・タイムズ紙の調査により、アフガニスタンのテロリストに対する「正義の一撃」が実際には10人の民間人を殺害し、うち7人が子供だったことを国防総省は認めざるをえなかった。イラクとシリアでの空爆では、誤った情報と不正確な照準により、何千人もの罪のない人々を死に至らしめた。
米国は何十年もの間、行き当たりばったりで自尊心を傷つけるソラティア制度に依存してきた。ソラティアとは、米軍の作戦中に殺害されたり負傷したりした民間人に対し、非を認めるのではなく、同情の表現として支払われる見舞金のことである。
ベトナム戦争では大人1人の死に対する支払いは33ドルで、子供はその半分だった。アフガニスタンでは民間人1人の死亡に対し124〜1万5000ドルだった。国防総省は、米国や同盟国の軍事行動による死傷に対する支払いに年300万ドルの専用基金を設けているが、支払いは年々まれになっている。
オースティン米国防長官は最近、過去の民間人被害の申し立ては再検討しないと声高に主張している。先月、国防総省は過去の民間人被害に関する申し立てを再検討する予定があるかとの下院議員の質問に対し、オースティン長官は「現時点では、事件を再捜査するつもりはない」と答えた。
米国の無人機攻撃の合言葉は一貫して「説明責任なし、謝罪なし、補償なし」であり、根本から見直しが必要だ。それまで被害者は、募金サイトや見知らぬ人の親切に頼って生きていかなければならない。国防総省は説明責任を果たすと豪語しながら、機密と免責を隠れみのにするのだから。
(次より抄訳)
Yemen Drone Strike Survivor Uses GoFundMe for Medical Care [LINK]
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