2022-05-13

バイデンのウクライナ軍事行動は、なぜ中国を利し、ロシアを制圧できないのか?

ジャーナリスト、エカテリーナ・ブリノバ
(2022年5月13日)

米下院は5月10日、400億ドルのウクライナ軍事支援策を368対57で可決し、バイデン大統領による当初の330億ドルの要求を上積みした。その前日、同大統領はレンドリース法案(武器貸与法案)に署名し、米政府はウクライナへの兵器支援を合理化することができるようになった。

今回の紛争以前から、米政府は2021年1月から2022年2月の間に約7億ドルをウクライナに資金提供している。米国務省によると、2014年以降、米国は訓練や装備のための安全保障支援として65億ドル以上を提供してきた。

ウクライナに対する米国の新たな大規模な軍事支援は、同国の平和を達成する助けにはならない。それどころか、ウクライナ政府と軍の一部に、この戦争に勝てるという愚かな確信を与え、戦闘が必要以上に長く続きかねない。

ウクライナ戦争が泥沼にはまることで最も得をするのは中国だ。欧米諸国がウクライナ危機に対し近視眼的かつ非現実的に対処しているため、中国の非欧米諸国への影響力が飛躍的に高まっている。米国は中国に対し劣勢に立たされることになる。中国がロシアとの関係を強化すればなおさらだ。

欧米の政治家は民主主義の擁護者として自らを演出することができる。防衛・兵器産業はウクライナに軍事製品を供給することで利益を得ることができる。過激な環境保護主義者は、欧米はロシアの石油とガスへの依存をやめなければならないと主張し、反化石燃料政策を推進できる。

多くの米国民にとって特に問題なのは、新型コロナで政府が行った浪費のせいで陥った、悲惨な財政状態だ。米国の国家債務は急速に膨れ上がり、物価高騰で日々負担を強いられている納税者は、ウクライナ援助の資金は2つの持続不可能な財源からしか得られないことに気づいている。借りるか金を刷るかだ。

ウクライナへの軍事支援は、米国の政治体制が失敗を認めない最新の例となるだろう。失敗を認める代わりに、同じ政策や規制を繰り返す。コロナウイルスのない世界とか、ウクライナのロシアに対する勝利とか、見えなくなっていく賞品を追いかけて、さらに多くのお金が費やされ、多くの命が奪われていく。

(次より抄訳)
Why Biden's Ukraine Military Adventure Will Benefit China & Fail to Subdue Russia - Sputnik International, 12.05.2022 [LINK]

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