2022-05-11

戦勝記念日のために〜第二次世界大戦の勝利について考えるときだ

ジャーナリスト、マシュー・エレット
(2022年5月9日)

77年前、ドイツは連合軍に降伏し、第二次世界大戦の惨禍は終わりを告げた。しかし、ここに驚くべき事実がある。連合国は第二次世界大戦に勝利していないのだ。これは20世紀後半に新しい形のファシズムがゆっくりと再出現し、今日世界が再び直面しているグローバルな独裁の危険と深い関係がある。

ロックフェラー、ウォーバーグ、モンタギュー・ノーマン、ヘンリー・オズボーン、モルガン、ハリマン、ダレスといった1920〜40年代の金融業者や実業家の強力なネットワークがなければ、第一次世界大戦後の経済危機に対する「解決策」としてのファシズムはありえなかったと言ってよい。

米大統領二人を輩出したブッシュ家の家長プレスコット・ブッシュは、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの取締役として、1932年にヒトラーが支持を失い、ドイツ国民が反ファシストのシュライヒャー将軍を首相に選出した際、破産したナチ党を存続させるために貴重な融資を行った。

米国が第二次世界大戦に参戦して11カ月後、米政府はプレスコット・ブッシュの経営する銀行が、あるオランダの銀行と深く関わっていることに疑問を抱いた。この銀行はナチスのパトロンだった実業家ティッセンに結びついていた。1942年10月22日、米政府はプレスコットの全財産を差し押さえた。

1928年のカルテル協定で、ロックフェラーのスタンダード石油は、石炭から合成ガソリンを作る特許と技術をすべて独IGファルベンに譲渡することが可能になった。この結果、ドイツは1934年には30万トンの天然石油しか生産できなかったのが、大戦中には650万トンに急増した。

オーエン・ヤングはモルガン財閥の手先で、ゼネラル・エレクトリック(GE)社を率い、1928年にドイツの債務返済計画(ヤング案)を策定した。米英金融街を代表して、(ドイツの賠償金支払いを統括する)国際決済銀行(BIS)を誕生させ、実業家と金融業者の国際カルテルを統合した人物である。

ヤング案が始まる2年前、モルガン財閥はすでにイタリアで新たに樹立されたムッソリーニのファシスト政権に1億ドルの融資を行っていた。同財閥幹部で民主党のキングメーカー、トーマス・ラモントはウォール街の「イタリア作戦」で、(ナチスドイツ支援における)プレスコット・ブッシュの役割を担った。

米タイム誌を創刊したヘンリー・ルースは、ムッソリーニを1923〜43年に8回も表紙に載せ、「奇跡の経済解決策を米国に」とファシズムを宣伝した。1929年以降の大恐慌に絶望した米国人は、ファシズムが食卓に食べ物を並べ、仕事を見つける手助けをしてくれると考えるようになった。

世界にファシズムをもたらした金融家たちは、第二次世界大戦後の数十年で、そのまま国際通貨基金(IMF)や世界銀行などのブレトンウッズ機関に入り込み、開発の道具を奴隷化の道具に変えてしまった。

(次より抄訳)
For Victory Day: It’s Time to Think About Finally Winning WWII [LINK]

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