2023-02-18

秘密の戦争、国民の無関心

元米ニュージャージー州判事、アンドリュー・ナポリターノ
(2023年2月15日)

秘密裏に戦争行為を行う政府と、それに無関心な国民と報道機関、どちらが個人の自由を破壊するだろうか。反ロシア的な憎悪と戦争の太鼓を鳴らす、現在の米国の毒々しいごった煮(バイデン大統領の米国)には、その両方がある。
以下はその背景である。

ウクライナでの戦争は12カ月目に入った。ロシア軍は西へゆっくりとした、抑えがたい動きとなり、500万人のウクライナ人が痛みを伴って国外に移住し、13万から15万人のウクライナ軍が犠牲になったのは言うまでもない。

米議会は、絶望的な状況にあるウクライナ軍を支援するために、大統領に最大1000億ドルの借金をすることを許可した。大統領はこれまで、軍備と現金の寄付でその約半分を浪費してきた。

軍備の多くは米国の余剰品からではなく、自衛装備の倉庫から提供されたものだ。提供した装備の多くは、ウクライナ軍がオクラホマ州でその使用・維持・修理を学んでいるほど高度なものである。あまりに高性能なため、米軍は制服を脱いでウクライナの現場に立ち、装備の使用や保守をウクライナ人に指導している。米軍兵士がロシア軍に照準を合わせてミサイルを発射しなければならないような装備もある。

軍服を着ていない米兵は、バイデン氏にとって諸刃の剣となる。もし米兵が非武装で軍服を着ていないなら、バイデン氏は合法的に米国の「派兵」を否定することができる。しかし米兵は軍服を着ておらず、敵対行為を支援しているため、合法的にロシア軍に銃撃され、捕らえられ、ウクライナのために働くスパイとして処刑される可能性がある。このようにして、米国は悲惨で犯罪的なベトナム戦争を始めたのである。

バイデン氏の目標は何なのか。ウクライナから、さらにはロシア語圏のクリミアからロシア軍を追放することなのか、それともロシアのプーチン大統領を公職から追放することなのだろうか。どちらの目標も軍事的に達成可能でなく、道徳的、憲法的に問題があるため、ホワイトハウスはこれについて正確に説明することができないし、するつもりもないだろう。

合衆国憲法の文言から明らかなように、議会は宣言していない米国人を巻き込む戦争に資金を提供することはできない。さらに、ロシアの地上軍は30万から50万人規模に拡大しようとしている。これらの部隊は、米国がどのような装備を提供し運用しようとも、ウクライナ軍とその米国人教官を圧倒するだけだろう。

しかし制服のない軍隊を使い、明確で達成可能な目標なしに500億ドルを費やすことは、バイデン氏がこの紛争で下した最悪の決断ではない。そのような無駄はすべてよく知られている。先週まで知られていなかったのは、バイデン政権がドイツとロシアに対して行った戦争行為である。ドイツに対して? そうだ。

ドイツとロシアの産業界は、バルト海に「ノルドストリーム・パイプライン」と呼ばれる天然ガスパイプラインを建設した。このパイプラインにより、ロシア政府は安価なロシア産天然ガスをドイツの電力会社に販売・供給できるようになった。

有名な調査ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ(ソンミ村虐殺事件、ウォーターゲート事件、米中央情報局=CIA=の国内スパイ計画、米国人拷問、ピューリツァー賞で有名)によると、バイデン氏は昨年6月にCIAと海軍の共同作戦でパイプラインを爆発させる準備を命じたという。海軍特殊部隊は海底に潜り、パイプラインに爆薬を仕掛けた。

ハーシュ氏の記事によれば、バイデン氏は9月にCIAに爆薬の設置を命じ、それが実行され、パイプラインに100億ドルの損害を与え、ドイツ、ロシアの経済とバルト海にそれ以上の損害を与えたという。

もし本当なら、これは同盟国であるドイツと、敵国とされているが米国が一度も戦争をしていないロシアに対する戦争行為である。

大統領は、同盟国であれ敵対国であれ、明確な軍事的必要性なしに他国に合法的に暴力を設置することができるのだろうか。一言でいえば、できない。

憲法上、宣戦布告できるのは議会だけである。米国が加盟している条約では、そのような宣言には道徳的・法的根拠、つまり外国軍からの確かな軍事的脅威がなければならない。1973年の戦争権限法では、大統領はすべての暴力的な軍の配備について議会に通知することが義務づけられている。今回の暴力は通告しなかっただけでなく、防衛的でもなく、外国軍から差し迫った危険にさらされている人命を救うことを意図したものでもない。しかも、同盟国に対してである。

別の言い方をすれば、道徳的な軍事目的がないことを知りながら、ドイツとロシアの経済を弱めるために攻撃したことで、この戦争行為は犯罪行為(戦争犯罪)にもなってしまったのである。

CIAの利用は、もちろん偶然ではない。戦争権限法で議会報告と承認が必要なのは、軍事的暴力だけである。もしバイデン氏が攻撃を認めることがあっても、CIAを責任者にすることで、諜報活動だったと主張できるだろう。

CIAの無法で、道徳と無縁で、憲法違反の、殺人的な文化に加え、ハリー・トルーマン〔大統領〕以来、すべての米大統領がCIAを進んでかばってきたことで、第二次世界大戦後の大統領は、破壊と殺害に使用する秘密の私兵を手に入れたのである。

しかしハーシュ氏の報道が真実であれば、バイデン氏は同盟国を攻撃するためにCIAと海軍を利用したことで知られる最初の米大統領になるだろう。独当局がこの攻撃について沈黙しているのは不可解ではないのだろうか。米国の主流メディアはどこにいるのだろうか。思うに、ハーシュ氏はドイツ人と米メディアに恥をかかせたのだ。

報道機関は国民の目であり、耳である。しかし、もし報道機関が臆病になったり、政府と手を結んだりしたら、政府が秘密の戦争を行うときに、誰がそれを暴露するのだろうか。国会議員はどこにいるのだろう。国民の怒りはどこにあるのだろう。

バイデン氏は、自分の大統領としての弱い立場を強化するために、本当に戦争を望んでいるのだ。 どうやら米国民はそれを耐え忍ぶようだ。なぜなら世論をカネで買い、作り上げる政府やメディア、軍産銀行複合体のエリートは、道徳心を持たず、歴史を理解せず、憲法に忠実でなく、罪のない人々を全滅させることに何のためらいもないからである。

What is Biden's goal in Russia-Ukraine war? - Washington Times [LINK]

0 件のコメント: