2023-02-07

なぜ軍事費を削減しないのか?

自由の未来財団(FFF)創設者・代表、ジェイコブ・ホーンバーガー
(2023年1月31日)

警察への財政支出削減が叫ばれるなか、重要なことに気づいてほしい。誰も軍への財政支出削減について語らない。それは軍事組織があまりにも強力で、米国の生活における不変の特徴として受け入れられるようになったからである。自由主義者を除いては、誰もが軍隊を神として扱っている。
しかし年間8000億ドルもの税金を投入している軍隊の資金削減こそ、なすべきことなのだ。とりわけ制御不能な支出、負債、通貨の乱発は、米国を内部から崩壊させる恐れがある。言うまでもなく、軍事組織は現在、米国をロシア、中国、またはその両方との核戦争に巻き込むためにあらゆることを行っている。

2022年9月7日のオムニ・フィナンシャルの記事によると、米国は国内に約450〜500の軍事基地を有する。50州すべてに少なくとも1つの基地がある。いくつかの州には数十の基地がある。カリフォルニアは123、テキサスは59、フロリダは56、ハワイは49、そしてアラスカは47である。

この国内軍事基地の帝国は、どのような目的をもっているのだろうか。

答えよう。何の目的もない。これらの基地はすべて、それ自身のために存在している。つまり、年間8000億ドルの税金による恩恵を受ける軍人が生活し、働く場所として機能するためだけなのだ。

考えてみてほしい。19世紀には、アメリカ先住民の攻撃から地域を守るために軍事基地があることは理にかなっていた。しかし今や先住民の攻撃という脅威はどこにもない。その脅威はずっと以前になくなったのである。

もう一度聞くが、これらすべての軍事基地は何のためにあるのだろうか。答えてほしい。何の目的もない。

外国からの侵略の脅威はどうだろうか。外国が米国を侵略した場合、450〜500の基地が米国人を守っていると言えないだろうか。

しかし、米国に外国からの侵略の脅威はない。まったくないのだ。

国防総省が冷戦時代の45年間と同じように、ロシアを米国に対する重大な脅威に転換させるよう望んでいたことは、今や明らかである。北大西洋条約機構(NATO)を利用してロシアを挑発し、ウクライナに侵攻させた後、軍当局者が何を叫んでいたかを思い出してほしい。ロシアの侵攻は、ウクライナを征服した後、西に移動し、欧州全体を征服する究極の目的を持っており、その後、大西洋を渡り、米国を侵略し征服するつもりであることを示していると言っていたのだ。

ところがだ。今となっては、ロシアはウクライナすら征服できていない。米国にとっての大きな「脅威」は、見せかけであることが露呈したのだ。ロシアが大西洋を渡り、米国に侵攻し、補給線を維持し、国を征服し、連邦政府と米国の公立学校を乗っ取ることができる可能性はまったくなかったのである。

すべてでたらめだったのだ。しかし、これは明らかに計画だった。ロシアを再び巨大な脅威として提示し、不必要な450〜500の国内軍事基地の存続を正当化するために利用できるものだったのである。

国防総省とその信奉者である主要メディアが、米国のもう一つの主要な「敵」「競争相手」「ライバル」「反対者」「敵」と考えている国である中国は、どうだろうか。

中国は台湾を征服することさえ難しいだろう。太平洋を渡り、米国を侵略し、征服し、占領するための補給線維持の課題を含む、わずかな軍事能力もない。それどころか、中国は米国を侵略したり、国家を征服したり、米国の社会主義的な公立学校制度で米国人に共産党宣言を学ばせたりすることに、まったく関心がないのである。

しかし450~500もの国内軍事基地の存在を正当化するために、国防総省は冷戦時代の騒動と同じように、中国が米国にとって重大な脅威であることを示すためにできることは何でも必死にやっているのである。

ベネズエラ、キューバ、北朝鮮、ニカラグア、シリアなど、国防総省が「国家の安全保障」に対する脅威とみなす第三世界の社会主義・共産主義国についてはどうだろうか。繰り返すが、これらの国々には米国を侵略・征服・占領する軍事力、資金、軍備、軍隊、そして関心すらない。実際、もし実行しようとしたら、米国の十分に武装した市民がすぐに排除することは疑いの余地がない。

もちろん軍事国家主義者は、「国内の軍事基地がなければ、国防総省は海外の軍事基地帝国を維持することができない」と叫ぶだろう。それは約80カ国にある750の基地のことを指しているのだろう。そう、想像してみてほしい。ペンタゴン(国防総省)は米国内よりも海外に多くの軍事基地を置いているのだ。

それらも閉鎖すべきだ。何のためにあるのだろうか。国防総省が外国の政権を支配したり、外国を侵略・占領したり、ウクライナで最近行ったように、外国の危機や戦争を引き起こしたりする能力を提供するためである。キング牧師が米国の国家安全保障国家について言ったことを思い出そう。それは「世界最大の暴力の提供者」だということだ。

その危険かつ有害な海外介入主義が、どうして米国民の利益になるのだろうか。死と苦しみと破壊を与えるだけで、怒りと憎しみを生む。それが報復テロとして現れ、そのテロがまた、国内外の軍事基地の広大な帝国の存在を正当化するために利用されるのだ。

もう一つ忘れてはならないのは、安全保障体制による国内の自由の破壊だ。たとえば愛国者法、大規模な秘密監視、超極秘でろくに審議されない外国情報監視法(FISA)法廷、無期限拘留、軍事法廷、適正手続きの否定、国家が支援する米国民の暗殺と拷問などである。

わが国は、最小限の政府を持つ共和国として建国された。それは憲法の存在を求めた政府機構である。それが百年以上にわたるわが国の政府体制であった。その特徴は、簡単で比較的小規模な軍隊を持つことであった。私たちの祖先が最も望まなかったのは、今日の米国のような、国内外に軍事基地の大帝国を有する巨大な軍事機構だった。建国の父らは常備軍に猛烈に反対した。

連邦政府の安全保障国家への変貌は、わが国がこれまでに犯した最悪の過ちである。制御不能な連邦支出、負債、通貨の乱発の主因であり、それはわが国を破産に追い込んでいるだけでなく、今や生命を奪う核戦争で脅かしている。

国家安全保障体制を廃止・解体し、比較的小さな軍隊と最小限の政府しか持たない共和国を取り戻す必要がある。今、それを行う必要がある。私たちの自由、平和、繁栄、調和、そしておそらく私たちの生存さえも、それにかかっている。

(次を全訳)
Why Not Defund the Military? – The Future of Freedom Foundation [LINK]

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