2023-02-15

ディープステートへの警告

自由の未来財団(FFF)創設者・代表、ジェイコブ・ホーンバーガー
(2023年2月10日)

今朝、ロシアがウクライナに向けて発射したミサイルがモルドバ上空を通過し、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるルーマニアの22マイル圏内に入った。もしミサイルがルーマニアに命中していたら、北大西洋条約第5条に基づき、とくにウクライナ上層部で、NATOが即応してロシアを攻撃する要求が高まったことだろう。
またNATOはモルドバを加盟させたいと考えており、そうなれば米国民が自動的に守らなければならない国の数は31カ国になることも注目すべき点だ。

米国防総省(ペンタゴン)が米国民をロシアとの全面核戦争という殺戮に近づける今、アイゼンハワー大統領が米国のディープステート(闇の政府)について米国民に発した警告を思い出さずにいられない。

アイゼンハワーは「告別の辞」の中で次のように述べた。

巨大な軍事組織と大規模な軍需産業の結合は、米国の経験上、新しいものである。経済的、政治的、精神的なものまで含めたすべての影響が、あらゆる都市、州議会、連邦政府のあらゆる官庁に及んでいる。この事業を急ぎ進めることが必要であることは認識している。しかし、その重大な意味を理解しないわけにはいかない。私たちの労苦、資源、生活すべてが関わっている。私たちの社会構造そのものもしかりである。

政府の審議会では、それが意図されたものであろうとなかろうと、軍産複合体による不当な影響力の獲得を防がなければならない。誤って与えられた権力の出現がもたらすかもしれない悲劇の可能性は存在するし、存在し続けるだろう。この軍産複合体の影響力が自由や民主手続きを危険にさらすことを決して許してはならない。何ごとも確かなことは一つもない。警戒心を持ち見識のある市民だけが、巨大な軍産機構を平和的な方法と目標にふさわしく結びつけ、安全と自由をともに繁栄させることができる。

アイゼンハワーは、左翼的な平和主義者ではなかった。陸軍士官学校の卒業生である。元陸軍大将で、正確には五つ星の将官だった。第二次世界大戦では連合国軍の最高司令官を務めた。軍部の構造を深く理解していた。

アイゼンハワーが演説したのは、米国がロシアをはじめとする共産圏と冷戦状態にあった頃である。したがって、アイゼンハワーが「この事業を急ぎ進めることが必要であることは認識している」と述べたのは、冷戦が米国のディープステートの大規模な台頭を必要としていたことを指摘したのである。

私はその正当性に疑問を感じている。米国がこれまでに犯した最大の過ちは、連邦政府を、建国時の最小限の政府による共和制から、安全保障国家に転換したことだと考える。安全保障国家は国家主導の暗殺などで、共産主義者や全体主義者が行使するような多くの全体主義的権限を行使している。自由な国は自由によって共産主義と戦うのであって、全体主義や闇の政府の力によって戦うのではない。

とはいえ、冷戦が表向き1989年に終結したのは紛れもない事実である。したがってアイゼンハワーがディープステートを正当化する根拠は、この年に消滅した。残されたのは、米国の中核にある巨大で不変の軍産機構が私たちの生き方にもたらす危険についての警告だけである。この機構は、1962年のキューバ・ミサイル危機を前にしたときと同じように、私たちを核戦争に危険なほど近づけている。

今こそ、米国民はアイゼンハワーの警告を真剣に考え、反省し、わが国の異なる方向性、すなわち、建国時の最小限の政府による共和制の回復と、不干渉主義という建国時の外交政策の回復を考える良い機会だろう。

アイゼンハワーが警告したような非常に危険で有害な方向に、国防総省が米国を動かしていることに疑いの余地はない。米国人が国の方向を変える機会を得る前に、国防総省が全面核戦争という殺戮を引き起こすことに成功し、この問題を無意味なものにしないよう祈ろう。

(次を全訳)
Ike Was Right about the Deep State – The Future of Freedom Foundation [LINK]

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