2023-02-11

消費税という悪税

元米下院議員、ロン・ポール
(2023年2月6日)

米下院共和党のグループは、連邦所得税、給与税、遺産税、贈与税を30%の全米消費税に置き換える法案を支持している。この法案はまた、内国歳入庁を廃止し、各州に対し、売上税を徴収し、その収入を連邦政府に送る責任を負わせる。
このように各州に連邦税の徴収役を任せることは、連邦主義の原則に反する。とくにこの法案では、住民に売上税を払わないことを選択した州に対して、消費税を徴収する仕組みを作るよう求めている。

すべての商品に30%の消費税をかけ、例外や控除を認めないということは、何百万人もの米国人に課される税金を増やすことになる。この消費税法では、消費税の費用を相殺するために、米国人が毎月「払い戻し」を受け取ることができる方法を提供している。それでも多くの納税者は、新しい全国的な消費税制度のもとでは、より多くの税金を支払うことになる。

もし消費税が成立すれば、議会は消費税率を30%以上に引き上げる必要はなくなるかもしれない。なぜなら、連邦準備理事会(FRB)がインフレによって消費税を引き上げる〔=物価が上がれば消費税の絶対額が増える〕ことを当てにできるからだ。その結果、このインフレ税は、消費税が米国民に与える苦痛を増大させることになる。

全国的な消費課税は、多くの商品の闇市の隆盛を招くだろう。そうなると、政府は市民の買い物の監視を強化することになる。また、政府の官僚が私たちの購入品リストを所持することにもなりかねない。この情報は、政府官僚が政敵を困らせたり罰したりするために悪用されるかもしれない。監視によって、個人が政府の食事勧告を守っているか、「過激派」のコンテンツを購入しているかを追跡することができる。税法を確実に遵守する必要上、現金を政府が発行・管理するデジタル通貨に置き換えることも正当化されるかもしれない。

提案された国の消費税率が高い水準に設定されているのは、法案の提出者が連邦政府の歳入を減らしたくなかったからである。税制改革で大きな問題となるのは、連邦政府の支出削減が含まれていない場合である。

残念ながら自由主義者(リバタリアン)の中にも、ワシントンの政治ゲームにのめり込んでしまう者がいる。税制改革と政府支出の削減を結びつける必要性を無視し、その代わり、税制の効率化に重きを置く。さらに悪いのは、政府の歳入を増やすために特定の税金を削減すべきだというサプライサイドの主張をすることである。自由主義者は、政府歳入の増加は、本来なら健全な税制の不幸な結果だと考えるべきだ。減税が政府の歳入を増やす点をはるかに超えた、減税を提唱しなければならない。

消費税は消費を抑制し、貯蓄と投資を促進するからという理由で消費税を支持する人がいる。貯蓄と投資は自由市場にとって重要だが、政府の政策は可能な限り、貯蓄と消費の間で中立であるべきである。貯蓄を奨励する政策は、消費を奨励する政策と同じように、市場を歪める。

自由市場の支持者が支出を削減することなく、さまざまな税制改革を追求するのは本末転倒だ。政府が憲法上の制限に戻るまで、米国民は税の専制政治から解放されることはないだろう。それが実現するのは、多くの人々が福祉戦争国家を拒否し、平和と自由に向けた道徳的かつ実践的な主張を受け入れるときだ。

(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : (Sales) Taxation is Theft [LINK]

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