2021-06-09

陰謀論は便利なレッテル


「陰謀論」とはつくづく安易で便利なレッテルだ。バズフィードジャパンが新型コロナワクチンにまつわる「陰謀論」を批判してみせた、二回にわたる記事を読んで、あらためてそう痛感した。

記事によれば、5月中旬、東京・渋谷でマスクを外した人々が行ったデモは、次のようなメッセージを発していたという。

  • 新型コロナウイルスそのものを否定する言説
  • ワクチンを否定する言説
  • マスクが有害であると主張する言説
  • 緊急事態宣言などの政府の強権的な政策を批判する言説

これに対し、記事は「これらはいずれも誤りだ」と断言する。なぜなら「新型コロナウイルスは確かに存在しているし、ワクチンの高い効果や安全性は治験などで実証されている」。そして「無症状者にも感染性があること、マスクが感染予防に有効であることは、科学的に確認されている」からだという。

しかし、これらの断言は乱暴すぎる。

たとえば、「ワクチンの高い効果や安全性は治験などで実証されている」といっても、それはまさしく事前の治験にすぎない。実際に接種が始まってからワクチンの効果はまだ証明されていないし、安全性についてはむしろ三カ月で八十五件もの死亡事例が報告されている

これらの死亡事例は、ワクチンとの因果関係が証明されたわけではない。それでも接種直後の相次ぐ死は、安全性に疑問符を付けるのに十分すぎる事象だろう。

「マスクが感染予防に有効であることは、科学的に確認されている」というが、それはせいぜい、至近距離で話す場合に飛沫感染を防ぐ効果にすぎない。ウイルスは微小で、市販のマスクの網目など通り抜けてしまうから、空気感染は防げない。

だから少なくとも、一人で道を歩くなど、至近距離で人と話さない状況であれば、マスクをする意味はない。むしろ酸欠や熱中症になる恐れがあるし、同じマスクを何度も使えば不衛生にもなる。したがって、マスクは有害というデモの主張を頭から否定するのはおかしい。

記事では、日本医大の勝俣範之教授(腫瘍内科)がこうコメントする。「ワクチンに対する有害事象をきちんと拾っていくことは大事ですが、因果関係がないことが多いので(中略)すぐにワクチンのせいと思わないようにしたほうが良いでしょう」

勝俣教授は「因果関係がないことが多い」と言い切るが、厚労省の審議会でさえ、八十五件の死亡事例はいずれも、ワクチンと死亡との「因果関係が評価できない」と言っているだけで、「因果関係が認められない」という判断は一つもない。

陰謀論を非難する人々は、陰謀論は非科学的で非論理的だと主張する。けれども往々にして、非科学的で非論理的なのは彼らのほうである。

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