三カ月半で139人が死亡する出来事があれば、新聞やテレビは間違いなく、トップニュースとして大々的に報道するはずだ。ところが、新型コロナウイルスワクチンに関してはそうではない。大手メディアには不気味なほどの沈黙が漂っている。
厚生労働省は6月9日、新型コロナウイルスワクチンの接種後の副反応について検討する専門部会を開いた。そこではワクチンに関するさまざまなデータとともに、接種を始めた今年2月17日以来、5月30日までにワクチン副反応の疑いとして報告された死亡事例が139件(いずれもファイザー製ワクチン)あったことが明らかにされた。
大手メディアは日頃、「命は大切」「命を守れ」とあれほど強調しているのだから、何はおいても、この139人の死亡について大きく報じなければならないはずだ。ところが、実際は違った。
そもそも、専門部会の開催について報じた大手メディアが少ない。グーグルで検索した限り、NHK、読売新聞、毎日新聞、時事通信の四社しかない。タイトルを示すと、以下のとおりだ。
しかしこれらの記事も、死亡に注意を喚起してはいない。ワクチンの安全性を強調するようなタイトルばかりだ。NHKと読売は、今回初めて公表されたモデルナ製ワクチン(武田薬品工業が国内販売)の副作用を取り上げ、死亡や重いアレルギー反応のアナフィラキシーがなく、「重大な懸念」は認められないとの厚労省の見解を伝えている。
ファイザー製による139件の死亡については、おおむね記事で触れてはいるものの、「接種との因果関係は情報不足で評価できない」ことから、「重大な懸念は認められない」との厚労省の見解を伝えるにとどまる。
この冷ややかな報じ方は、新型コロナそのものの過熱した報道と比べ、温度差がありすぎる。厚労省が「接種との因果関係は情報不足で評価できない」と言っている以上、決めつけるような報道はよくないという判断からだろうか。そうだとすれば、せめて今後、その「情報不足」をカバーする情報を読者に届けてほしい。
今この瞬間もワクチン接種が全国で続くなか、メディアは接種後の死について口をつぐんでいる。死亡者やその家族の無念が、沈黙のうちに葬り去られるとは思いたくない。
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