2021-02-09

いびつな物価指数


政府の作成する消費者物価指数には資産価格が含まれない。しかしここ数十年、不動産や株式などの資産価格が一般の商品・サービスと不釣り合いに高騰している。ユーロ圏で体感される物価が政府の統計よりも5%ポイント高いのは不思議ではない。

ユーロ圏の物価上昇圧力は消費財以外の部分で表面化している。とくに株式や不動産などの資産価格だ。政府の公式統計は物価全体の上昇をひどく少なく見積もっている可能性がある。資産価格が上昇すると、すでに資産を持っている人以外、豊かになるのが難しくなる。

ドイツでは資産価格の上昇や税負担の増加を考慮に入れると、実質賃金は2010〜2017年に年2.17%も低下している。影響を大きく受けるのは、労働所得だけに頼り、不動産を持たず、それでも将来に備えて貯蓄に努めようとする世帯だ。とくに親や祖父母の支援のない若者は厳しい。

欧州統一通貨ユーロを維持する費用は、金本位制で金の採掘や鋳造にかかる費用の3倍以上という試算がある。これはある意味で当然だ。ユーロ圏の中央銀行は損益を気にしなくていいし、費用は通貨発行益でまかなえる。そうした官僚組織は無駄遣いや高コストに陥りやすい。

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