2021-02-04

リンカーンの過ち

The Problem with Lincoln: The False Virtue of Abraham Lincoln (English Edition)

左翼はつねに中央集権の政府権力を平等主義の名の下に擁護してきた。リンカーンは米国史上、誰よりも中央集権の官僚制構築に貢献し、差別反対の美辞麗句で有名なため、左翼から英雄としてもてはやされる。米国共産党はニューヨーク市の「リンカーンの日」まで祝ったものだ。

平等ではなく、政府の強制からの自由こそ、米国における立憲政治の中心テーマである。むしろ自由と平等は正反対のものであり、政治的・社会的に平等を強制しようとすれば、必ず自由の制限につながり、最後は自由を破壊する。

米国以外の諸国では、18〜19世紀に奴隷制を平和のうちに終わらせている。リンカーンの過ちは、他の国と同じように平和な奴隷解放を目指さなかったことにある。代わりに彼は一期目の大統領就任演説で、南部への介入を禁じる憲法修正案を支持し、奴隷制を永遠に守ると約束した。

なぜリンカーンは平和な奴隷解放を追求しなかったのだろう。奴隷解放は本当の目的ではなかったからだ。おもな目的はつねに「合衆国を救う〔州の独立を阻止する〕」ことにあった。新聞編集者への手紙で、もし奴隷を一人も解放しないで合衆国を救えるのなら、そうすると書いた。

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