We Will Barro You | Mises Institute [LINK]
ロバート・バローという経済学者をご存知でしょうか。彼は自由主義経済の大家として知られ、ノーベル経済学賞の候補にもたびたび名前が挙がる人物です。今回ご紹介するのは、そのバロー氏が自著の中で展開した、アメリカ南北戦争に対する非常に刺激的な視点です。
一般的に、南北戦争は奴隷制を終わらせるための正義の戦いであり、リンカーンは大統領として偉大な英雄であったとされています。しかし、バロー氏の主張はこれに真っ向から反対するものです。彼は、南北戦争を「アメリカ史上最大の過ち」であった可能性さえ指摘しています。
この議論の出発点は、1990年代のソ連崩壊にあります。当時、ソ連から多くの共和国が分離独立しようとしていましたが、驚くべきことにアメリカ政府は当初、この解体に消極的でした。バロー氏は、その理由をアメリカ自身の歴史に求めています。もしアメリカが他国の分離独立を正当な権利として認めてしまえば、かつて南部諸州の分離独立を力で抑え込み、多大な犠牲を払って「連邦の維持」を優先した南北戦争の正当性が揺らいでしまうからです。
南北戦争による人的・経済的損失は凄まじいものでした。60万人以上の兵士が命を落とし、南部の経済は壊滅しました。南部の市民一人あたりの所得は、戦争前は北部の80パーセント程度でしたが、戦後は40パーセントにまで激減し、その水準を回復するのに100年以上を要したのです。
ここで、「奴隷解放のためなら、それほどの犠牲もやむを得なかったのではないか」という反論があるでしょう。しかし、バロー氏はこの点にも疑問を呈します。第一に、戦争による経済の衰退は、白人だけでなく解放されたはずの黒人層をも苦しめました。第二に、戦争で奴隷制を終わらせても、その後の100年間、黒人への深刻な差別や隔離は解消されませんでした。
バロー氏は、1830年代にイギリスが西インド諸島で行ったように、政府が奴隷所有者から奴隷を買い取ることで平和的に解放を進める道があったはずだと説いています。実際、西半球の他の国々では、戦争を経ずに奴隷制が廃止されていきました。ブラジルの例を見れば、アメリカでもあと数十年待てば、これほど悲惨な内戦を経ずとも、奴隷制は自然に終焉を迎えていた可能性が高いというのです。
現代の価値観からすれば、非常に議論を呼ぶ見解ではありますが、バロー氏の指摘は、国家の統合という大義名分がいかに大きな代償を強いるのか、そして「正義の戦争」という美名の裏にどれほどの経済的、社会的な誤算が隠れているかを、私たちに鋭く問いかけています。
いかがでしょうか。歴史の教科書とは一味違う、経済学者の冷徹かつ論理的な分析を通じて、アメリカという国の複雑な背景が見えてくるのではないでしょうか。
(Geminiを利用)

0 件のコメント:
コメントを投稿