Tom G. Palmer, Carl Schmitt: The Philosopher of Conflict Who Inspired Both the Left and the Right(カール・シュミット――左右両翼を奮い立たせた対立の哲学者)より抜粋。
カール・シュミット(Carl Schmitt)はドイツの法学者で、著書『政治的なものの概念』は、自由主義に反対する左翼と右翼に大きな影響を及ぼした。シュミットによれば、政治上の相違をせんじ詰めれば、友と敵(friend and enemy)の関係に行き着くという。
マルクス主義哲学者のスラヴォイ・ジジェクによれば、反自由主義的な左翼・右翼の政治思想家はいずれもシュミットの「友敵関係」説を信奉している。この左右の思想家たちにとって、「生まれつきの敵意」(inherent antagonism)こそが人間の本質である。
近年、「カール・シュミット業界」をにぎわすのは極左だ。シュミットの思想は自由主義と平和への攻撃で中心的役割を果たす。左翼著作家アントニオ・ネグリと文学研究者マイケル・ハートは「新たな共産党宣言」(new Communist Manifesto)として売り込んでいる。
シュミットの政治思想は米国のネオコン(新保守主義)思想とも関係がある。おもにシュミットに影響を及ぼした哲学者レオ・シュトラウス(Leo Strauss)とその一派(ウィリアム・クリストルやNYタイムズのデビッド・ブルックスら)を通じてである。
シュミットにとって自由貿易は戦争に代わる平和的手段ではなく、戦争よりも残忍な搾取をごまかすものにすぎなかった。普遍的人権(universal human rights)という自由主義の考えも、友敵関係を否定するものとして拒絶した。
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