Patrick Trombly, Central Banks Have Robbed Us Of the Benefits of Free Trade(中央銀行は自由貿易の利益を盗んだ)より抜粋。
能率が改善すると、通貨量など他の条件が一定なら、物価は必然的に下がる。だが実際には通貨量は一定でなかった。ほとんどの中央銀行は「デフレと戦う」(fight deflation)ために、2%の物価上昇率を目標に、通貨量を大幅に増やした。
もし中央銀行のインフレ政策がなければ、グローバル化で物価は下がり、実質所得(real incomes)を高めただろう。その結果、人々はグローバル化に不満を抱くのではなく、満足したはずだ。
物価が下がらなかったのは、中央銀行がデフレ阻止に成功したことを意味する。しかしそれは実質所得の増加を妨げたということだ。一方、金融緩和政策は世界中で不動産と商品価格のバブル(bubble)、株式・債券相場の高騰を招いた。
中央銀行の主張に反し、デフレは経済にとって脅威ではなく、恩恵である。米ミネアポリス連銀のエコノミストが書いた2004年の論文によれば、歴史上、不況と物価下落の間には相関関係(correlation)がなく、まして因果関係(causal link)の印はなおさらない。
中央銀行はデフレの「死の連鎖」(death spiral)とやらを防ごうと貨幣量を増やしたものの、経済の力学に逆らうことはできなかった。その結果、資産価格が高騰する一方で実質所得は減り、労働者は憤っている。
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