トランプ氏が次期大統領に決まり、米国で「偉大な自由貿易の時代(free trade moment)は終わろうとしている」という声をよく聞く。一見もっともらしいが、完全に間違っている。
米国の関税率は平均すると約3%と比較的低いものの、さまざまな「政治的に微妙な」(politically-sensitive)(つまり、熱心にロビー活動された)製品には高い関税をかけている。ピーナッツ131.8%、ツナ35%、乳製品20%、軽トラック25%などだ。
米国では非関税障壁(non-tariff barriers)も近年急増している。輸出補助金、差別的規制、国産品購入ルール、フェアトレードの義務づけなどだ。あらゆる形式の貿易障壁を足し合わせると、世界一保護主義的な国は中国でもメキシコでもなく、米国である。
米国は373品目に対し保護主義的な税(protective duties)をかけており、うち90%以上は最近3年間に始まったものだ。中国製品は140品目を占め、関税率はしばしば100%に達する。
米鉄鋼業は反ダンピング関税や相殺関税の半数以上で保護されている。にもかかわらず、トランプ次期大統領らから「無制限な」(unfettered)自由貿易信仰の犠牲者と呼ばれる。鉄鋼、繊維業の不振や労働者の生活苦は、保護が足りないせいではない。
0 件のコメント:
コメントを投稿