Jeffrey Tucker, The Greatest Invention of One Thousand Years Ago(千年前の最も偉大な発明)より抜粋。
11世紀初め、カトリックのベネディクト会修道士、グイド・ダレッツォ(Guido d’Arezzo)は楽譜と音階を考案し、音楽の教育と記述を可能にした。グイドの貢献がなければ、現在スマートフォンやユーチューブで聴く音楽は存在しなかっただろう。
昔から音楽教育を担っていたのは、一握りの教師らの傲慢なカルテルだった。音楽教師になるには、このうち誰かの弟子になり、承認(blessing)を得なければならない。教師は同業者の数を増やしたがらないから、おべっかも必要だった。
グイドの発明はカルテルをぶち壊した。グイドが一番やりたかったのはグレゴリオ聖歌(Gregorian chant)を楽譜に記すことである。聖歌がカルテルの口伝によってしか伝えられないことに不満を抱いていたからだ。歌が失われてしまわないか心配だった。
グイドはあらゆる偉大な革新者(great innovator)と同じことをやってのけた。資源を他の用途に解き放ち、しかも生活を向上させた。修道士を一人の音楽教師の下で強いられる果てしない学習から解放し、より純粋な精神生活に時間を割けるようにした。
修道院は発明を祝うどころか、グイドを雪の中に放り出した。権力を失いたくない音楽教師らがそう要求したのである。グイドは発明に感心したローマ教皇(Pope)の紹介でアレッツォの司教を訪ね、そこで仕事を続けることができた。
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