言語学者、ノーム・チョムスキー
(2022年6月17日)
2014年以降、米国と北大西洋条約機構(NATO)はウクライナに武器を注ぎ込み始めた——先端兵器、軍事訓練、合同軍事演習、ウクライナをNATO軍司令部に統合する動きなどだ。これは秘密ではない。かなりオープンだった。最近、NATOのストルテンベルグ事務総長はこのことを自慢げに語った。2014年から行っていたことだ、と。もちろん、これはきわめて意識的で、きわめて挑発的だ。
Welcome to a Science-Fiction Planet
— Antiwar.com (@Antiwarcom) June 18, 2022
How George Orwell's Doublethink Became the Way of the World:
David Barsamian interviews Noam Chomsky@TomDispatch #Ukraine #Russia #NATO #MilitaryIndustrialComplex #Orwell #georgeOrwell https://t.co/l84qtBoYHq pic.twitter.com/l6q6nKa3HN
2019年、ウォロディミル・ゼレンスキーは、東ウクライナとロシアの和平実現を公約に掲げ、圧倒的多数で(ウクライナ大統領に)当選した。彼はそれを前に進め始め、実際、ロシア寄りの東部地域ドンバスに行き、「ミンスク2」合意を実施しようとした。ドンバスがある程度の自治権を持つウクライナの連邦化のようなもので、スイスやベルギーに似ている。ゼレンスキーは右翼の民兵に妨害され、もしこの努力を続けるなら殺すと脅された。
まあ、ゼレンスキーは勇気のある男だ。もし米国の後ろ盾があれば、前進できたかもしれない。米国は拒否した。ゼレンスキーは手を引かざるをえなかった。米国は、ウクライナをNATOの軍事司令部に組み入れる政策に熱心だった。それはバイデン大統領が誕生してさらに加速した。2021年9月、NATO加盟準備「強化プログラム」の一環として、軍事訓練、軍事演習、武器増強を加速させる計画、共同声明を発表した。
(2022年)2月24日、プーチン(露大統領)は犯罪的な侵略を行った。こうした深刻な挑発は正当化できない。もしプーチンが政治家であったなら、まったく違うことをしただろう。フランスのマクロン大統領のもとに戻り、マクロンの暫定提案を把握し、欧州との融和を図り、欧州共通の家に向けた一歩を踏み出すために動いただろう。
もちろん米国はずっとそれ(ロシアと欧州の融和)に反対してきた。プーチンの手近に政治家がいれば、マクロンの構想を把握し、実際に欧州と統合して危機を回避できるかどうか、実験していたはずだ。プーチンが選んだのはそうではなく、ロシアから見れば、まったく愚かな政策だった。侵略の犯罪性は別として、プーチンは欧州を米国の懐に深く追いやるような政策を選択した。実際、スウェーデンとフィンランドをNATOに加盟させるという、ロシアから見れば最悪の結果を招いている。
ロシア側の犯罪性と愚かさ、米国側の厳しい挑発。そうした背景がウクライナ戦争をもたらした。この惨状に終止符を打つのか、それとも永続させるのか。それが選択肢だ。
戦争を終わらせる方法は一つしかない。外交だ。プーチンにある種の逃げ道を提供することになる。もう一つは、ただ引き延ばし、どれだけ誰もが苦しむか、どれだけウクライナ人が死ぬか、どれだけロシアが苦しむか、どれだけアジアやアフリカで餓死者が出るか、どれだけ環境を悪化させ、人間が生きていける可能性のないところまで進めるか、ということだ。米国と欧州の大半はほぼ100%の一致で、外交はしないという選択肢を選ぶだろう。前進を続け、ロシアを傷つけなければならないというわけだ。
西側全体と同様、スウェーデンの指導者たちは、二つの矛盾した考えを持っている。一方で、ロシアは張子の虎で、大半が市民の(スウェーデン)軍に守られた国境から数マイルの都市すら征服できないのは明らかだと笑う。つまりロシアは軍事的に完全に無能だという。他方で、ロシアは西側諸国を征服し、破壊する態勢を整えているという。
作家ジョージ・オーウェルはそのような考えを「二重思考」と呼んだ。心の中に二つの矛盾する考えを持ち、その両方を信じる能力だ。オーウェルはそれを、『1984年』で風刺した超全体主義国家しか持ちえないものだと勘違いしていた。彼は間違っていた。自由な民主主義社会でもそれは可能なのだ。私たちは今、その劇的な例を見ている。
(次より抄訳)
Welcome to a Science-Fiction Planet - Antiwar.com Original [LINK]
まあ、ゼレンスキーは勇気のある男だ。もし米国の後ろ盾があれば、前進できたかもしれない。米国は拒否した。ゼレンスキーは手を引かざるをえなかった。米国は、ウクライナをNATOの軍事司令部に組み入れる政策に熱心だった。それはバイデン大統領が誕生してさらに加速した。2021年9月、NATO加盟準備「強化プログラム」の一環として、軍事訓練、軍事演習、武器増強を加速させる計画、共同声明を発表した。
(2022年)2月24日、プーチン(露大統領)は犯罪的な侵略を行った。こうした深刻な挑発は正当化できない。もしプーチンが政治家であったなら、まったく違うことをしただろう。フランスのマクロン大統領のもとに戻り、マクロンの暫定提案を把握し、欧州との融和を図り、欧州共通の家に向けた一歩を踏み出すために動いただろう。
もちろん米国はずっとそれ(ロシアと欧州の融和)に反対してきた。プーチンの手近に政治家がいれば、マクロンの構想を把握し、実際に欧州と統合して危機を回避できるかどうか、実験していたはずだ。プーチンが選んだのはそうではなく、ロシアから見れば、まったく愚かな政策だった。侵略の犯罪性は別として、プーチンは欧州を米国の懐に深く追いやるような政策を選択した。実際、スウェーデンとフィンランドをNATOに加盟させるという、ロシアから見れば最悪の結果を招いている。
ロシア側の犯罪性と愚かさ、米国側の厳しい挑発。そうした背景がウクライナ戦争をもたらした。この惨状に終止符を打つのか、それとも永続させるのか。それが選択肢だ。
戦争を終わらせる方法は一つしかない。外交だ。プーチンにある種の逃げ道を提供することになる。もう一つは、ただ引き延ばし、どれだけ誰もが苦しむか、どれだけウクライナ人が死ぬか、どれだけロシアが苦しむか、どれだけアジアやアフリカで餓死者が出るか、どれだけ環境を悪化させ、人間が生きていける可能性のないところまで進めるか、ということだ。米国と欧州の大半はほぼ100%の一致で、外交はしないという選択肢を選ぶだろう。前進を続け、ロシアを傷つけなければならないというわけだ。
西側全体と同様、スウェーデンの指導者たちは、二つの矛盾した考えを持っている。一方で、ロシアは張子の虎で、大半が市民の(スウェーデン)軍に守られた国境から数マイルの都市すら征服できないのは明らかだと笑う。つまりロシアは軍事的に完全に無能だという。他方で、ロシアは西側諸国を征服し、破壊する態勢を整えているという。
作家ジョージ・オーウェルはそのような考えを「二重思考」と呼んだ。心の中に二つの矛盾する考えを持ち、その両方を信じる能力だ。オーウェルはそれを、『1984年』で風刺した超全体主義国家しか持ちえないものだと勘違いしていた。彼は間違っていた。自由な民主主義社会でもそれは可能なのだ。私たちは今、その劇的な例を見ている。
(次より抄訳)
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