(仏経済学者モリナリ、戦争状態で潤うエリートについて)より抜粋。
国家には支配する階級(governing class)と支配される階級(governed class)がいる。支配階級の関心は、自分たちの雇用を早く大幅に増やすことにある。国家に害悪を及ぼすか、利益をもたらすかにかかわらずである。そしてできるだけ高い報酬を求める。
しかし国の多数を占めるのは支配される階級であり、彼らが政府当局者(officials)の報酬を支払う。支配される階級のただ一つの望みは、必要最小限な人数の政府当局者を養うことである。
戦争状態(State of War)とは、支配される階級の生命と財産に無制限の権力を行使できることを意味する。支配する階級は、政府の雇用を思いのままに増やせるようになる。つまり、自分たちの雇用を増やせる。
政府雇用のかなりの部分を占めるのは、文明国家(civilised State)において破壊行為を担う組織〔=軍隊〕である。この組織は、敵国が力を増すたびごとに成長する。
戦時になると、兵士は報酬が増え、より栄光に包まれ、昇進の望みが高まる。これらの利点(advantages)は、耐え忍ばなければならない危険を補って余りある。戦争状態は支配層全体にも、軍隊を管理・指揮する当局者にも利益をもたらす。
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