事故のコストを他人がかぶるとわかっていると、人はリスクを避けようとする意識が薄れ、故意や不注意で事故を起こす危険がかえって高まる。この現象をモラルハザード(規律の喪失)と呼ぶ。軍事同盟の信奉者は、この危険に無頓着だ。
著者は集団的自衛をたとえ話で説明する。乱暴な男を撃退するため、商店街のどれか1つの店が因縁をつけられたら、商店街全体への攻撃とみなして反撃すると宣言する。「男は暴れることなく引き上げるしかありませんね」と著者は書く。
しかし現実には、話はそこで終わらないだろう。もし「敵」に商店街全体で反撃してくれるのなら、無謀な争いに手を出しやすくなる。ある店のドラ息子が隣の商店街で狼藉を働いて追われ、守ってもらおうと逃げ帰ってくるかもしれない。
他の店はいい迷惑だが、取り決めなので仕方なく、仕事の手を休めてドラ息子の加勢に出て行く。だがドラ息子は味をしめ、同じ悪さを繰り返す。商売どころではない。自分の店だけを守るほうがましと考え直す店主が増えるかもしれない。
ところで最初の乱暴者は商店街で店主に因縁をつけたり、商品を勝手に持って行ったり、暴れて店の物を壊したりする。現実でこんな国は、世界で戦争を繰り返す米国しか思いつかない。軍事同盟で支えれば、無謀な行動に油を注ぐだろう。
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