金本位制(gold standard)の復活に反対する人々は、理由の一つとして「金の量が足りないので金融と商業を支えられない」と言う。しかし、その主張はばかげている。
これまで世界で採掘された金は合計約17万トンで、うち約3万5000トンを中央銀行、財務当局、政府系ファンド(sovereign wealth funds)が保有する。この量のまま金本位制に復帰しても、金の値段を適切に定めれば、世界の金融・商業を支えることができる。
金本位制に復帰する際の金価格は、物理的な金の量と通貨供給量(money supply)の単純な比率から決定できる。この計算にはいくつかの仮定が必要である。どの通貨を含めるか。通貨供給量の定義は。金と通貨の比率をどうするか、などだ。
たとえば米国、ユーロ圏(Eurozone)、中国が金本位制採用で合意し、通貨供給量はM1を使い、金の裏付けを40%とした場合、金価格は1オンスおよそ1万ドルと計算できる。M2で裏付け100%なら5万ドルとなる〔現在は約1300ドル〕。
「金本位制復帰には金が足りない」という批判(criticism)に一言で反論するなら、「安定した、デフレにならない金価格を定めさえすれば、金はつねに十分ある」となる。
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