2022-07-29

ソ連について知っておくべきこと

ケイトー研究所政策アナリスト、チェルシー・フォレット
(2017年12月15日)

マルクスは大英博物館の読書室で、社会とは賃金労働者と生産手段の所有者(資本家)との闘争であり、資本家は「階級の敵」だという理論を作った。工場のオーナーは工場労働者を、農場のオーナーは日雇い労働者をそれぞれ搾取している、などと恐れた。現代の大学生の多くは搾取への恐怖を共有し、「1%」や「特権階級」を非難し、階級のない社会を望んでいる。

悲しいかな、マルクスとその信奉者たちは、資本主義による工業化が結局は広く繁栄をもたらすことを理解せず、自分たちが助けようとした労働者自身を傷つける結果となった。マルクスが嫌った工場のおかげで、英国の平均所得は、マルクスが生まれたときよりも亡くなったときのほうが三倍も多くなった。

百年前、ロシアで共産主義者が権力を握った後、平等の名の下に、裕福すぎる人は特定され、罰されることになった。技術者のような専門的な知識を持つ者や、「非労働力収入」を持つ者に疑いがかかった。

何百万人もの「階級の敵」、政治的異端者、その他の不幸な犠牲者が強制収容所で働かされた。強制収容所はレーニンの下で設立され、スターリンの下で急拡大した制度である。逃げ出そうとする者は即座に処刑された。スターリンに近い者も例外ではなく、収容所の主な刑吏の三分の一以上が、自分も収容所の囚人として終わった。

ある収容所では、捕虜が十分な防護を受けないまま放射性物質を採掘し、放射線中毒で死亡した。別の収容所では、囚人が冬に凍傷になりながら木材を切り、裸足で丸太を引きずって戻った。集団農場で食糧生産に従事しながら、わずかな配給しか与えられない囚人もいた。非常に長い労働時間、厳しい気候、食料不足、即決処刑などが重なり、毎年、収容所の囚人総数の少なくとも10%が死亡したと推定されている。

収容所での奴隷労働は、経済が崩壊する中、階級のないはずのソ連で支配階級を維持するのに役立った。クラーク(自営農家)を排除し、農場を集団化したため、農業の生産性は急落した。何百万人もの人々が餓死し、生き残るために人肉食に走る者もいた。スターリンは飢饉、飢餓、餓死という言葉の使用を禁じ、中央計画制度の明らかな失敗を、不心得者がわざと行った妨害と経済弱体化のせいにした。「隠れた敵が至るところにいる」と言い、それを口実に、より多くの人々を死や労働収容所に追いやった。

共産主義体制は平等を実現するために、農業や工学などの技術職で専門性を身につけ、成功を収めた者を投獄したり殺したりしたのである。富の再分配を行ったが、最初に自営農家から富を奪った農民の多くは結局、餓死した。共産主義政府は、最も生産的な人々の多くを投獄・殺害し、産業を集団化し、競争を禁止することで生産性に対する市場の意欲を排除し、資本主義の下よりもはるかに深刻で広範な貧困をもたらした。

共産主義が引き起こした不自然な死の数は、八千万人以上に上るという調査結果がある。この数字は、ロシア皇帝の暴力、スペインの異端審問、英国の「血のメアリー」(メアリー一世)による反宗教改革の比ではない。

(次より抄訳)
What Millennials Should Know About the Soviet Union - HumanProgress [LINK]

0 件のコメント: