ケイトー研究所主任研究員、マリアン・テューピー
(2018年7月13日)
マルクス主義は、誰もが平和に暮らせる無階級社会の創造など、多くの好ましい変化をもたらすとされていた。これら野心的な目標に加えるとすれば、プロレタリアート(労働者)に必要とされる労働量の実質削減だろう。自由な市場経済は、その目的をみごとに達成した。
Since the Industrial Revolution, the overall number of hours worked has declined in tandem with increasing prosperity.https://t.co/pEcQFA638j
— HumanProgress.org (@HumanProgress) July 11, 2022
1830年、工業化の進む西洋では1週間の平均労働時間は約70時間、日曜日を除くと1日の労働時間は11.6時間だった。1890年には週60時間、1日10時間まで減少した。その三十年後、先進国の労働時間は週50時間、1日8.3時間になった。現在、先進国の労働時間は週40時間未満で、それでも1日8時間程度である。土曜日、労働者は働かないのが普通だからだ。「週末」が誕生したのだ。
豊かさが増すにつれ、全体の労働時間は減少している。平たくいえば、国が豊かになればなるほど、人々の労働時間は減る。発展途上国のデータは入手困難だが、高所得国の人口調整後の労働者一人当たりの平均労働時間は、1950年の2123時間から2017年の1732時間に減っている。18.4%の減少だ。先進国ではドイツの労働時間が最も少なく(1347時間)、シンガポールが最も多い(2237時間)。1763時間の米国はちょうど真ん中だ。
同じ期間に、インフレと購買力を調整した一人当たりの平均国内総生産(GDP)は、ドイツで483%、シンガポールで1376%、米国で290%増加した。全体として、高所得国の一人当たりGDPは9251ドルから4万7149ドル(2016年、ドル換算)と、410%増加した。
つまり人々はより少ない労働で、より多くのお金を得ている。では余暇は充実しているだろうか。国際比較は難しいものの、米労働統計局の調査によると、2017年に米国人は一日平均5.24時間、レジャーやスポーツを楽しんでいる。2003年に調査を開始したときよりも2.5%増えている。米国が世界の傾向を代表しているのかどうかは不明だが、人間が以前より自由な時間を持つようになったことは否定できない。
マルクスは多くのことについて間違っていた。有名なのは、市場競争が利益を押し下げ、その結果、労働者の搾取を増やさなければならなくなると考えたことだ。しかしケイトー研究所のヨハン・ノルベリが著書『進歩』で指摘したように、マルクスが生きた時代、西洋の労働者は非常に豊かになった。「1883年にマルクスが死んだとき、平均的なイギリス人は、マルクスの生まれた1818年よりも3倍も豊かになっていた」とノルベリは書いている。マルクスは自分の誤った考えに目がくらみ、自分の周りで実際に起こっていることを見ることができなかった。
マルクスの弟子たちは今日、キューバ、ベネズエラ、南アフリカ、ジンバブエなどで同じ過ちを犯している。自由な市場経済に対するイデオロギー的な憎悪に狂い、マルクスが長い間望んでいたもの、つまり労働の減少と収入の増加が、資本主義によってもたらされたことを見ようとしないのである。
(次より抄訳)
Market Has Achieved What Marx Wanted - Less Labor - HumanProgress [LINK]
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