2022-07-27

グローバル化は不平等を解消する

ケイトー研究所政策アナリスト、チェルシー・フォレット
(2017年3月30日)

途上国の驚異的な成長によって国家間の相対的不平等が縮小し、貧困が減少している。貧困を減らし、生活水準を上げることは、所得の不平等を減らすことよりも、間違いなく重要である。

平均寿命は、生活水準全般を測る最も良い指標の一つだ。最も貧しい大陸であるアフリカでさえ、北米との平均寿命の差は縮まっている。1960年には北米の平均寿命はアフリカより約29年長かったが、2015年には18年に縮まった。エイズの大流行でアフリカの平均寿命が大幅に伸び悩んだにもかかわらず、この進歩は起きた。アジアと南米は北米との平均寿命の差をさらに縮め、それぞれおよそ6年と5年に短縮している。

平均寿命の延びは、乳幼児死亡率の低下にも起因しており、この分野でも貧しい国が豊かな国に追いつこうとしている。1960年、アフリカの子供たち1000人のうち144人が1歳の誕生日を迎える前に死亡したのに対し、北米の子供たちで死亡したのは26人だけだった。つまり、アフリカの子供たちは北米の子供たちよりも118人多く、乳幼児として死亡していた。2015年には、その数は43人にまで縮小している。

栄養状態が良くなったことも長寿の要因だ。1991年当時、アフリカの人口の30%近くが栄養不足だったのに対し、北米では5%以下だった。2015年には、アフリカで栄養不足は20%以下となっている。地球上で貧しい地域と豊かな地域との間の絶対的な不平等はかなり縮小し、栄養不足は世界的に珍しくなった。

富裕国と貧困国の教育格差も縮小している。1950年、米国の学生は中国よりも平均して7年近く、インド人よりも8年近く多く学習していた。2015年には、米国人の平均学習年数は、中国人の平均をわずか5年、インド人の平均を約6年上回るだけとなった。

インターネットの利用状況も同様である。特に中国は、急速にその差を縮めている。2000年には、中国人の2%弱がインターネットを利用するだけだったのに対し、米国人は43%だった。つまり41%の格差があった。2015年には、その差は24%に縮まった。

多くの分野で、貧しい国のほうが豊かな国よりも進歩が速い。ある年数を過ぎた子供たちを学校に通わせることは現実的でない、あるいは栄養失調のレベルがすでにゼロであるなど、豊かな国々が「ゴール」に到達していることが理由となっているケースもある。

立ち遅れた国で技術や成長に適した政策が急速に導入され、貧しい国々が猛スピードで進歩する後押しを受けるケースもある。なぜこのようなスピードで発展する国があるのだろうか。中国の驚くべき変化のスピードはなぜ起こったのだろうか。

国連の報告書によれば、中国とインドでは、経済の開放が成長を加速させ、その結果、貧困の削減、健康状態の改善、基本的な社会サービスの利用拡大など、人類の発達課題に取り組むことができたという。

絶対的不平等の拡大について慌てて文句を言うよりも、立ち止まって考えてみよう。グローバル化と自由な取引は、それで得をするのは金持ちだけだと考える人々には不評だが、世界中で相対的不平等を縮小し、貧困を激減させてきた。それに対して感謝すべきではないだろうか。

(次より抄訳)
Globalization Is Slashing Inequality - Here's How - HumanProgress [LINK]

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