経済学者、マレー・ロスバード
(1995年)
階級闘争の理論を始めたのは、カール・マルクスではない。1810年代、経済学者J・B・セイに触発されたフランスのリバタリアン(自由主義者)、シャルル・コント(セイの娘婿)とシャルル・デュノワイエから始まった。後にマルクス主義によって退化させられた階級理論とは対照的に、コントとデュノワイエの考えでは、そもそも階級闘争とは、どの階級が国家機構の支配権を手に入れたかに焦点を当てるものだった。
The theory of class conflict did not begin with Karl Marx. It began with two French libertarians, and James Mill developed a similar theory in the 1820s and 1830s. | Murray Rothbardhttps://t.co/kTARYb7QHN
— Mises Institute (@mises) October 22, 2019
支配階級とは政府権力を握った集団であり、被支配階級とは支配階級によって課税・規制される集団のことである。政府の支配は、課税、権力の行使、統制、補助金や特権の付与によって、支配者と被支配者の間に対立を生み出す。これは階級闘争の「二階級」理論であり、それはある集団が政府を支配するか支配されるかに基づく。一方、自由な市場経済では階級闘争は存在せず、社会のすべての個人が生産と交換で協力し、それを通じて利害の調和が図られる。
1820〜30年代に、ジェームズ・ミル(英経済学者、哲学者。ジョン・スチュアート・ミルの父)が同様の理論を展開した。ミルによれば、すべての政治は、少数の支配階級が多数の被支配階級を支配・搾取するものである。あらゆる集団は利己的な利益のために行動する傾向があり、支配階級が「公共の利益」のために利他的に行動すると期待するのは馬鹿げていると、ミルは指摘した。
ミルの言葉ほど、自由主義の支配階級論がはっきりと力強く語られたことはない。「二つの階級がある」とミルは宣言した。「第一の階級、略奪する者は少数であり、支配する少数者である。第二の階級は、略奪される者であり、多数者である。服従する多数である」
政府の大きな難問は、この略奪をどうやってなくすかだとミルは結論づけた。「略奪階級から、その業務の遂行に成功する力を奪うこと。これが政府の大きな問題である」
支配階級の権力をどうやって抑制するか。ミルはその答えを見出した。「人民は監視役を任命しなければならない。その監視役とは誰か。人民自身である。この究極の安全装置がなければ、少数の支配者は多数の被支配者を永遠に苦しめ、弾圧するだろう」
ジェームズ・ミルが政治活動の中心に据えたのは、急進的民主主義の達成である。人民による普通選挙と、秘密投票による頻繁な選挙である。ミルにとって民主主義の拡大は経済の自由放任主義よりも重要だった。自由放任は、貴族階級が人民の支配に取って代わられることによって生じる幸福な結果の一つにすぎないと考えた。ミル派は1840年代、民主主義を要求の中心に据え、(リチャード・コブデンらが率いる)反穀物法同盟が掲げる自由貿易と自由放任に賛同しながらも、同同盟との連携を拒んだことで政治的意義を失った。
大衆がつねに自由放任を支持してきたとは言えず、少数者の搾取による支配をしばしば忠実に支持してきたのはなぜだろうか。人々が政府と公共政策という複雑な分野において、自分の利益が本当はどこにあるかわからないという無知に陥ってきたからだ。そこでミルとその急進的な一派は大衆を教育・組織することで、民主的支配を実現し、自由放任主義を導入させようとしたのである。
(次より抄訳)
James Mill and Libertarian Class Analysis | Mises Institute [LINK]
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