ザ・議論! 「リベラルVS保守」究極対決
国家主義者の無知
右翼と左翼は一見正反対だが、根本は同じだ。どちらも国家主義者である。経済の道理について驚くほど無知であり、社会の問題は国家によって解決できると信じている。右翼と左翼をマイルドにした保守とリベラルも、本質は変わらない。
井上は、多国籍企業は政治的責任を問われない「経済権力」だと批判する。国が民主的に決めた税制や労働・環境規制などでコストが高くなると国外に逃避し、雇用など国内経済に悪影響が出るので、規制したくてもできないからだという。
生活や環境の防護は国家の役割だと井上は信じているようだ。だが大衆の生活水準を高め、技術改良で環境汚染を減らしてきたのは、国家ではなく企業である。規制は改善の妨げになる。井上は移動の自由の行使を、権力の行使と混同してもいる。
井上は、日本共産党は「愛国政党」だから貿易政策は保護主義を主張していると評価し、小林も賛同する。だが保護主義とは国民から輸入品を買う自由を奪って生活水準を下げ、その犠牲で一部の産業関係者を潤すことだ。愛国どころか売国の所業である。
井上は、共産党が尖閣諸島の領土主権を主張する点も愛国的だと評価し、小林も同意する。しかし、もし本気で国民の生活水準を高めたいのなら、そのような「愛国心」は有害だ。戦後日本は多くの領土を失ったが、はるかに豊かになった。
井上と小林は、ナショナリズムとは国家主義ではなく国民主義だと擁護する。しかし上記のように、具体的な主張の中身は結局国家主義である。国民主義というなら、問題解決を国家権力に頼るのでなく、国民の自由な経済活動に委ねてもいいはずだ。
戦争責任に関する井上の議論など有益な部分はあるものの、全体として高くは評価できない。
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