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「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-03-01

コレステロールの神話

Statins, Cholesterol, and The Real Cause of Heart Disease [LINK]

【海外記事紹介】アメリカだけで年間約250億ドルもの費用が投じられている「スタチン(コレステロール低下薬)」ですが、その根拠となる「コレステロール仮説」が実は医学界最大の詐欺の一つである可能性が浮上しています。心臓病は依然として死因のトップであり、数十年間にわたるスタチンの普及が、国民の健康を劇的に改善したとは言い難いのが現状です。近年の研究では、コレステロール値を下げても心臓病のリスクは必ずしも減少しないことが示されています。それにもかかわらず、製薬会社から多額の報酬を得ている専門家たちによって、より多くの人々にスタチンを処方するようガイドラインが書き換えられ続けてきました。

この記事では、アンセル・キーズ氏が1960年代に提唱した「脂肪悪玉説」の不備を指摘しています。キーズ氏は自身の理論に都合の良いデータのみを抽出し、砂糖業界からの賄賂によって、本来の元凶である砂糖から脂肪へと責任を転嫁させたことが内部文書から明らかになっています。実際、コレステロール値が低いほど死亡率が高まるという皮肉な研究結果も存在しますが、こうした事実は長年無視されてきました。現在の医学界では、スタチンに疑問を呈する者は「スタチン否定論者」として攻撃される、一種のキャンセル文化が形成されています。

スタチンの副作用についても深刻な懸念が示されています。利用者の約20%が何らかの障害を負っていると推定され、筋肉痛、疲労感、認知機能の低下、糖尿病の発症、さらには腎不全や肝機能障害など、多岐にわたる被害が報告されています。医療現場では、これらの症状を「思い込み(ノセボ効果)」や「不安」として片付ける傾向がありますが、これはコロナワクチンの副反応が軽視された構図と酷似しています。

真の心臓病の原因として注目されているのが、マルコム・ケンドリック博士の「凝固モデル」です。心臓病の本質はコレステロールが動脈に詰まることではなく、汚染物質、ストレス、タバコ、鉛への曝露などによって血管の内膜が繰り返し損傷することにあります。体はその損傷を修復しようと血栓(かさぶた)を作りますが、その層が重なることで「プラーク」が形成されます。真の予防には、高価な新薬を売ることよりも、大気汚染の改善やストレス管理、血管内皮の保護が重要ですが、これらは特許化して利益を生むことができないため、研究資金が投じられにくいのが実情です。私たちは今、マーケティング神話から目を覚まし、利益優先の医療政策を正していくべき転換点に立っています。 

現代の秘密工作機関

NED Leader Cut off in Congress After Boasting of ‘Deploying’ 200 Starlinks to Iran amid Violence - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】全米民主主義基金(NED)のデイモン・ウィルソン会長が、2月24日に行われた米下院の監視聴聞会において、先月のイランでの混乱の最中に約200台の「スターリンク」端末の配備と運用を支援していたことを明らかにしました。ウィルソン氏がこの機密性の高い支援について口にした直後、ロイス・フランケル下院議員が「それについては話さないほうがいい」と遮る場面があり、米国による情報工作の一端が垣間見えました。この記事は、民主主義の促進を掲げる政府出資の非営利組織が、実際には他国の政権転覆を狙う「現代の秘密工作機関」として機能している実態を告発しています。

スターリンクは、イーロン・マスク氏率いるスペースX社が提供する衛星インターネットシステムですが、イラン国内のデジタル封鎖を突破するための武器として利用されています。ウィルソン氏は、NEDが長年にわたって行ってきた投資が、情報の流出入を可能にする安全な通信網を確保したと誇らしげに語りました。ニューヨーク・タイムズ紙などは、これらが「草の根の活動家」によって密輸されたと報じていますが、実際にはNEDがそのネットワークの資金調達と調整を担っていたことが浮き彫りになりました。イラン当局は、1月の暴動の際に数千台のスターリンク端末を無力化することで事態を鎮静化させたとされています。

NEDの歴史を振り返れば、1982年に当時のCIA長官の主導で設立され、かつてCIAが秘密裏に行っていたNGOやメディアへの支援を引き継いだ組織であることがわかります。ウィルソン氏は、イランが現在NEDにとって世界最大かつ最優先のプログラムであることを認め、2022年の「女性、生命、自由」運動においても、一地方の事件に過ぎなかったマフサ・アミニさんの死を世界的な物語へと仕立て上げ、イラン国内に送り返す役割を果たしたと主張しました。また、現在の混乱に関しても、NEDが支援する「人権ネットワーク」を通じて、死者数を大幅に誇張した情報を国際メディアに提供し、反政府感情を煽る情報戦を展開しています。

さらに聴聞会では、イラン以外でもボリビアでリチウム資源がロシアの手に渡るのを防いだことや、ニカラグアで反政府的な報道ネットワークを訓練していることなど、世界各地での介入実績が語られました。ウィルソン氏は、イラン政府が中東の代理勢力支援に資源を浪費したために国内の干ばつに対処できないといった「物語」をイラン国民に共有し続けてきたことも自認しています。こうした活動は、表向きは自由の促進を謳いながら、実態は米国の国益に沿った政権転覆工作であり、その手法はかつての秘密工作を公然と行う「ダークマネー」グループのそれへと変貌を遂げているのです。

フィリピンと台湾有事

The Fatal Costs of the Philippines-Taiwan War Scenario - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】フィリピンのマルコス・ジュニア政権が推進する対米軍事協力の強化が、将来の台湾有事においてフィリピン経済に致命的な代償を強いるリスクについて、経済学者のダン・スタインボック氏が警告しています。現在、フィリピン政府は近代化の名のもとに、米軍のミサイルシステム配備や共同演習を加速させていますが、これが「繁栄と安全」をもたらすという公式見解に対し、専門家は極めて冷徹なシミュレーションを提示しています。

スタインボック氏は、台湾海峡で武力衝突が起き、フィリピンが米軍に基地や補給などの兵站支援を提供した場合、国際法上、フィリピンは事実上の「共同参戦国」と見なされると指摘します。その結果、中国による報復対象となり、経済的な「地政学的分断」が非線形的に加速します。第一のシナリオである数ヶ月の短期戦であっても、南シナ海の船舶保険料は跳ね上がり、主要な港湾のリスクプレミアムが高騰します。投資家はフィリピンを危険視して資本を国外へ逃避させ、通貨ペソは暴落、観光業や中国向け輸出は完全に崩壊します。これだけでも、国内総生産(GDP)は一時的に6%から10%失われると予測されています。

さらに深刻なのは、第二のシナリオである3年から5年に及ぶ長期的な封鎖や紛争の継続です。この場合、フィリピンは世界のサプライチェーンから「恒久的に」排除されるという構造的な悪夢に見舞われます。半導体や電子機器のグローバル・バリューチェーンは破壊され、物流ルートはフィリピンを完全に迂回するように再設計されます。これは一時的な停滞ではなく、2050年までに本来の成長予測からGDPが43%も押し下げられることを意味します。その姿は、2022年以降のウクライナにも例えられます。

結論として、台湾有事への深入りは、フィリピンが長年描いてきた「ASEANの成長株」という夢を終わらせることになります。2035年までにおよそ10年から15年分の開発の遅れが生じ、2050年までには一世代分の豊かさが失われる計算です。かつて期待された経済的キャッチアップの約束は消え去り、フィリピンは「道を見失った成長物語」の典型例として歴史に刻まれることになりかねません。軍事的な同盟強化が、国民を中所得国の罠に固定し、貧困と格差を永続させる構造的な足かせになるという皮肉な現実を、著者は強く訴えています。

ウクライナ和平の方法

How To Bring Peace to Ukraine - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】戦争を終わらせることには常に緊急性が伴いますが、ウクライナにおける戦争を終結させる必要性は今、かつてないほど高まっています。ウクライナのゼレンスキー大統領は、トランプ政権が交渉による終結の期限を6月に設定したと述べており、NATOのルッテ事務総長も、この悲惨な戦争を終わらせるには困難な選択が必要になるとウクライナ議会で語りました。ロシア側でも、トランプ氏に対するプーチン大統領の忍耐が限界に近づく一方で、ロシア国内からはより決定的な勝利を求める圧力が強まっています。こうした焦燥感の中、戦争初期のイスタンブールでの対話以来、初めてウクライナとロシアの交渉担当者が直接言葉を交わしています。

和平を実現するためには、まず戦争の歴史的背景を認め、双方の安全保障上のニーズに対処し、互いの譲れない一線であるレッドラインを尊重しなければなりません。どちらの側も望むもの全てを手に入れることはできませんが、双方が「核心的な目標を達成した」と国民に説明できる妥協点を見出す必要があります。ウクライナは、かつての最大主義的な約束から一歩引き、NATO加盟の事実上の断念や、クリミアやドンバスの奪還が困難であることを認識し始めています。一方のロシアも、ウクライナが外部から安全保障の提供を受けることや、EUへの加盟を認めるなど、重要な譲歩を見せています。

交渉において最も困難なのは安全保障と領土の扱いです。ロシアが戦争に踏み切った大きな理由はNATOの拡大阻止でした。したがって、ウクライナがNATOに加わらないという保証なしにロシアが矛を収めることはないでしょう。その代わりに、ウクライナはEU加盟国としての防衛援助義務を担保に、強力な軍事力と自衛権を維持する道を探っています。領土については、ロシアはドンバス地方のロシア系住民の保護を外交的に確定させたい考えです。もしウクライナがドンバスの支配権を事実上認める代わりに、独立した主権国家として元の領土の80パーセントを維持し、欧州の一員として生き残ることができれば、それは1940年代にソ連と戦い抜いて繁栄を勝ち取ったフィンランドのような成功と言えるかもしれません。

経済面では、凍結されたロシア資産をウクライナの復興に充てることについても、制裁解除と引き換えにロシア側が妥協する兆しがあります。戦争に勝者はいません。何十万人もの命が失われた今、外交によって避けられたはずの悲劇をこれ以上繰り返さないためにも、双方が最後のハードルを乗り越える勇気が求められています。感情的な正義の追求よりも、冷徹な現実主義に基づいた合意こそが、ウクライナの生存とヨーロッパの安定をもたらす唯一の道なのです。

帝国主義の侵略戦争

US-Israeli war on Iran is NOT about nuclear weapons. It's about imperialism. - Geopolitical Economy Report [LINK]

【海外記事紹介】アメリカとイスラエルによるイランへの軍事行動の本質は、核兵器拡散の防止ではなく、純粋な「帝国主義」による侵略戦争である。ジャーナリストのベン・ノートン氏は、2月28日早朝にトランプ大統領が発表した「イランにおける大規模戦闘作戦」の開始を受け、このように断じました。テヘランへの猛烈な爆撃が続く中、トランプ氏はイラン軍に投降を迫り、反体制派に対して「政府を乗っ取るチャンスだ」と公然と政権転奪(レジーム・チェンジ)を呼びかけています。ネタニヤフ首相もこれに同調し、イランに「自由と平和」をもたらすと主張していますが、皮肉にも同首相自身はガザでの人道に対する罪で国際刑事裁判所から逮捕状が出ている身です。

ワシントンとテルアビブが掲げる「イランの核兵器保有を阻止するための先制攻撃」という口実は、国際法に照らしても、客観的な事実に基づいても、全くのナンセンスです。イランは2015年の核合意(JCPOA)を遵守していましたが、2018年にこれを一方的に破棄したのはトランプ氏自身でした。さらに、融和的な姿勢を見せていたイランのペゼシュキアン大統領に対し、アメリカ側は「偽りの交渉」を隠れ蓑にして、昨年6月に続き今回も突然の爆撃を仕掛けました。オマーンの仲介による交渉で「平和合意は間近だ」と発表されたわずか数時間後に大規模な爆撃が開始された事実は、アメリカとイスラエルに最初から平和の意思がなかったことを如実に物語っています。

この戦争の真の目的は、1979年のイラン革命によって失われた中東における支配権を奪還することにあります。アメリカの巨大企業と帝国主義的な戦略家たちは、イランのみならず地域全体の豊富な石油、天然ガス、そして重要鉱物資源をコントロール下に置くことを画策しています。また、中国へのエネルギー供給路を断つことも重要な狙いの一つです。元欧州連合軍最高司令官のウェズリー・クラーク氏がかつて暴露したように、イランは国防総省が長年計画してきた「転覆すべき7カ国」のリストに残された最後の国家なのです。

アメリカは現在、1953年のCIAクーデターで擁立された旧シャハ(国王)の息子、レザ・パフラヴィ氏を傀儡としてテヘランに据えようとしています。米政府系メディアはイラン国内に向けてパフラヴィ氏を支持するプロパガンダを流し、同氏もまたSNSでトランプ氏を称賛し、現政権の崩壊を煽っています。自らを「平和の大統領」と称する億万長者のトランプ氏は、その実、最も過激なネオコン(新保守主義者)の鷹派たちが抱き続けてきた野望を、最も暴力的な形で実行に移しているのです。

イラン攻撃の不都合な真実

Wars and Rumors of Wars - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカがイスラエルとともに、脅威をもたらしていないイランに対して一方的な攻撃を開始しました。元CIA工作員で安全保障の専門家であるフィリップ・ジラルディ氏は、この「選択された戦争」が中東全域を巻き込み、さらには核戦争へと発展しかねない致命的な誤りであると警告しています。土曜日の早朝、ドナルド・トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」を通じ、イランのミサイル産業を完全に破壊し、海軍を殲滅すると宣言しました。この軍事行動は、イランの兵器を最大の脅威と見なすイスラエルからの強い要請によるものであることは明白です。

トランプ氏は「勇敢なアメリカの英雄たちの命が失われるかもしれない」と述べ、自国兵士に犠牲が出ることを認めつつも、自身の家族は兵役を逃れてきたという皮肉な現実があります。ジラルディ氏は、平和の使者を自称しながら、ウクライナやガザでの紛争を助長し、ベネズエラやキューバを脅かし、今またイランとの戦争に突き進む大統領の姿勢を「狂気」と表現しています。トランプ氏が主張する「イランの核開発」や「米国を攻撃可能なミサイルの保有」といった開戦の口実は、米情報機関も否定しており、かつてのイラク戦争時に捏造された「大量破壊兵器」の嘘と同様の、惨劇を正当化するための作り話に過ぎません。

この記事が最も深く抉り出しているのは、アメリカの政治階級がイスラエルのネタニヤフ政権や、一部のユダヤ系大富豪による資金提供によって完全に支配されているという不都合な真実です。イスラエルにとって、アメリカは政治的・資金的・軍事的に搾り取るための「使い捨ての資源」に過ぎないと著者は述べています。さらに、ジェフリー・エプスタインをめぐる疑惑の背後にもイスラエル情報機関の影があり、エリート層を操作する工作の一環であった可能性が指摘されていますが、米議会はその核心を突く勇気を持ち合わせていません。

結局のところ、この戦争で犠牲になるのは戦地に送られる若者たちであり、アメリカ自身の繁栄や国際的な信用は失墜するばかりです。ジラルディ氏は、イスラエルとの異常なまでの「特別な関係」を断ち切り、他国を脅迫や武力で屈服させるのではなく、世界中の国々と敬意を持って接する外交に立ち返るべきだと訴えています。多くのアメリカ国民も、他国との平和を望んでおり、イランからの撤退を支持するはずだと結論づけています。

合法とは何か?

A Proper Explanation of the Detestable Terms: 'Legal' and 'Illegal' - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】私たちが日常的に使っている「合法(リーガル)」と「違法(イリーガル)」という言葉の真の意味について、評論家のゲーリー・バーネット氏が批判を投げかけています。氏によれば、これらの言葉は国家という怪物が大衆を威嚇し、支配するために作り出した忌まわしい道具に過ぎません。現代社会の大多数の人々は、自分の言動や所有物、居場所、さらには自分の体に何を摂取するかまで、一握りの「政治家」という人間に決定権を委ねてしまっています。

バーネット氏は、人類の多くが「自分は国家の奴隷であり、国家にはルールを作る権利がある」という誤った前提のもとで生きていると指摘します。しかし、国家を構成しているのもまた同じ人間であり、彼らが他者より優れているわけでも、正当な権利を持っているわけでもありません。彼らが主張する「法」とは、実際には自分たち以外の全員を縛るために勝手に作り上げられた、恣意的な「許可証」のようなものです。つまり、「合法」とは「政府が自由な人間に許可したこと」を意味し、「違法」とは「許可しないこと」を指しているに過ぎないのです。

本来、社会において重要な基準は「合法か違法か」ではなく、自然法に基づいた「正しいか間違っているか」であるべきです。他人に暴力を振るわない、他人の財産を傷つけない、他人の自由を侵害しないという「非侵害の原則」さえ守られていれば、それ以外の「法」など存在する必要はありません。殺人や盗み、拷問といった真の悪は、国家など介さずとも主権を持つ個人が私的な自衛や解決を通じて対処できるはずのものです。

ところが、現在の米国をはじめとする国家は、数百万にも及ぶ規制、制限、命令を積み上げ、世界で最も腐敗した状態にあります。数えきれないほどの法律が存在すること自体が、その国家の不健全さを証明しています。これら膨大な「法」から逃れられるのは、政治家やその執行官、そして彼らを操る一部の富裕層やオリガルヒだけです。残りの一般市民は、単なる支配の対象として扱われています。

バーネット氏は、自らを「自由」だと信じながら国家の顔色をうかがい、盲目的に従う大衆の臆病さと無関心を厳しく批判しています。真に自由な人間を支配することは誰にもできません。「合法」や「違法」という奴隷の言語を捨て、不当な支配に対して常に不服従の精神を持つことなしに、真の自由はあり得ないのです。

中央銀行とお金の劣化

Honest Money in Dishonest Hands - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】経済学者のゲーリー・ノース氏の著書『正直なお金』をもとに、現代の通貨システムがいかに「正直さ」を失い、一部のエリートに利益をもたらす仕組みへと変質してしまったかを解説します。

そもそもお金とは、孤島に一人でいるロビンソン・クルーソーにとっては無価値なものです。彼にとって金(ゴールド)は重いだけで、沈みゆく船から持ち出すべきは道具であり、金ではありません。しかし、他者との交換が発生する社会においては、貨幣は最も交換しやすい媒体として自然発生しました。歴史的に、市場が選んだ「正直なお金」は金や銀でした。これらは市場によって供給量が決まるため、恣意的な操作ができません。

しかし、現代の通貨供給を決めているのは市場ではなく、中央銀行のFRBです。著者は、私たちがパンや靴の価格を政府に決めてほしくないのと同様に、なぜ全ての価格の基準となる「通貨の供給量」を少数の人間に委ねているのかと問いかけます。

この体制下で行われているのが「インフレ」という名の偽造行為です。民間人がお札を刷れば犯罪ですが、政府や銀行が何もないところから通貨を作り出すのは、道徳的な仮面をかぶった「公認の偽造」に他なりません。ある実業家が偽札を刷れば刑務所行きですが、政府機関で紙幣を刷り続ける役人は年金をもらって引退し、経営危機に陥った銀行家は中央銀行から資金を融通してもらうことでボーナスを受け取ります。この新たな資金が銀行システムを通じて何倍にも膨らみ、物価上昇という形で一般市民の購買力を奪っていくのです。

インフレは「累進所得税」の強力な加速装置としても機能します。かつて所得税が導入された1913年当時、税率も低く対象もごく一部の富裕層だけだったため、国民は誰も気に留めませんでした。しかし、インフレによって名目上の給与が上がると、実質的な生活水準は変わらないのに、国民はより高い税率の区分へと押し上げられてしまいます。

FRBの本来の目的は「銀行パニックを防ぐこと」とされていますが、設立以来、世界恐慌を含む10回以上の不況を経験してきました。結局のところ、FRBの真の役割は政府の借金を肩代わりし、大銀行や政治家に利益を誘導することにあると著者は断言しています。「正直なお金」を取り戻すためには、中央銀行による独占を廃止し、市場による通貨の選択と管理を復活させる必要があるのです。

銀は戦略的資産に

Silver, Strategy, and a Structural Deficit [LINK]

【海外記事紹介】銀(シルバー)市場が歴史的な転換点を迎えています。元大統領顧問でコラムニストのチャーリー・ガルシア氏は、銀がもはや単なる「貴金属」ではなく、国家安全保障に直結する「戦略的資産」に変貌したと指摘しています。最大の転換点は2026年1月1日、中国が精製銀の輸出に対して新たなライセンス制度を導入したことです。これにより、世界の精製銀供給の6割から7割を握る中国が事実上の輸出制限をかけられるようになり、世界の供給網に構造的な断絶が生じています。

ガルシア氏によれば、銀市場は2021年から5年連続で構造的な赤字に陥っており、その累積不足量は約8億オンスに達しています。これは世界全体の年間鉱山生産量に匹敵する規模です。需要の構成も劇的に変化しており、10年前には5割程度だった産業用需要がいまや全体の6割を占めています。特に太陽光発電パネルや電気自動車(EV)、AIデータセンター、5Gインフラといった「エネルギー転換」と「デジタル基盤」に不可欠な素材となっており、これらは景気に左右されにくい「必須の購入」である点が特徴です。

供給面での課題は、銀の7割から8割が銅や金などの副産物として生産されていることです。銀価格が上がっても、主産物である銅や金の採掘計画が変わらなければ、銀の供給は自動的には増えません。また、ガルシア氏は防衛産業における銀の重要性にも言及しています。最新鋭のB2爆撃機やレーダー妨害技術、AI兵器などの高度な電子機器には銀が多用されており、地政学的緊張が高まる中、その価値はさらに高まっています。

一方で、市場価格は長年の「ペーパー・トレード(紙上の取引)」や中央銀行による通貨価値の操作によって抑え込まれてきたと氏は主張します。過去20年間、米ドルは年平均で約7%ずつ価値を失ってきたと推計されますが、現物資産である銀は未だに過小評価されています。ガルシア氏は、現在の供給不足という物理的な現実がペーパー市場の圧力を上回れば、銀価格は1オンスあたり200ドルのレンジにまで到達すると予測しています。

また、FRB(米連邦準備理事会)の次期議長にケビン・ウォーシュ氏が指名されたことについても触れています。ウォーシュ氏はAIによる生産性向上がインフレを抑制すると主張していますが、38兆ドルに達した米連邦債務と財政赤字を前に、FRBが長期金利を完全に制御することは困難だとの見方を示しました。

「平和の大統領」の裏切り

Trump Starts a Major Regime-Change War with Iran, Serving Neoconservatism and Israel [LINK]

【海外記事紹介】ドナルド・トランプ大統領が、自身の政治運動を通じて10年にわたり否定し続けてきた「体制転換のための戦争」を、ついにイランに対して開始しました。これはイスラエルのネタニヤフ首相やアメリカのネオコン(新保守主義者)たちが長年夢見てきた外交目標の実現であり、トランプ氏が掲げてきた「反ネオコン」の誓いを真っ向から裏切るものです。土曜日の早朝、アメリカとイスラエルはテヘランを含むイランの各都市への大規模な爆撃を開始しました。トランプ氏はこれを「オペレーション・エピック・フューリー(壮大な怒り作戦)」と名付け、イランを「テロ支援国家」や「悪の枢軸」と呼んで攻撃を正当化していますが、その言説はかつてのジョージ・W・ブッシュ政権が用いた使い古されたスローガンの焼き直しに過ぎません。

今回の戦争は、昨年6月に核施設を標的に行った限定的な攻撃とは質が異なります。9300万の人口を抱える大国に対し、政権打倒を目的とした無制限かつ継続的な破壊工作が行われようとしています。トランプ氏はわずか8カ月前にイランの核プログラムを「完全に壊滅させた」と宣言していた事実を棚に上げ、再び「壊滅」や「全滅」といった過激な言葉を並べています。出口戦略も明確な任務説明もないまま、イランの弾道ミサイル網や海軍を根絶やしにすると息巻いているのです。さらに、兵役忌避の過去を持つ大統領でありながら、多くのアメリカ兵の命が失われる可能性を「戦争には付き物だ」と冷淡に突き放しました。

  ジャーナリストのグレン・グリーンウォルド氏は、トランプ氏とその陣営がいかに巨大な欺瞞に満ちているかを鋭く批判しています。選挙戦では「ハリスへの投票は戦争への投票であり、トランプへの投票は戦争を止めるためのものだ」という宣伝を繰り返してきましたが、現実はその真逆となりました。議会の承認も得ず、憲法を無視して独断で開始されたこの戦争は、米国民の利益ではなく、アデルソン夫妻のような大口献金者やイスラエルの利益を最優先した結果だと指摘されています。かつて他人の子供を戦地に送り込む政治家を「社会病質的な戦争屋」と罵ったトランプ氏自身が、今やその象徴となっているのです。この無謀な選択がもたらす破壊の規模は計り知れず、中東地域に巨大な権力の空白を生み出し、今後何十年にもわたってアメリカのリソースを浪費し続けることになるでしょう。