スイス人はドイツのようなハイパーインフレの経験はないが、政府権力に対する猜疑心が何事にも強い保守的な態度(conservative stance)から、現金廃止に反対している。
現金廃止政策に賛成する人々がよく忘れるのは、貨幣は強制からは生まれないということだ。経済学者メンガー(Carl Menger)が述べたように、〔金銀など〕ある商品がきわめて自然に貨幣になったのは、国家権力とは無関係な経済取引の結果である。
現金(physical cash)を廃止すれば、すぐに金銀その他の商品など他の支払手段が現れ、政府の電子通貨より広く使われるようになるだけだ。…言い換えれば、現金を廃止することはできないのだ。
現金は違法行為に利用されているというのも嘘だ。専門家の調べによると、マネーロンダリングの大半は、異なる法域のペーパーカンパニー(shell corporations)を通じ、現金を使わず行われている。
作家ドストエフスキー(Fyodor Dostoyevsky)は「貨幣とは鋳造された自由である」と述べた。今はこう言い直したほうがいいだろう。「現金とは鋳造された自由である」
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