米国におけるイデオロギーの二極化、公務員による憲法の無視、人種間の緊張といった問題は、政治に関する国民の考え方に一因がある。それに強く影響を及ぼしたのは、ハーバード大学の政治哲学者ジョン・ロールズ(John Rawls)である。
ロールズが自由を善とみなしたのは、機会や富(opportunity and wealth)の格差拡大につながらない限りにおいてである。この考え方は、学問と政治の世界でともに人気を集めた。
人々に自由を与えつつ格差(unequal conditions)を防ぐにはどうしたらいいか。その答えは、政府(とくに司法府)からみて不公平に扱われている人々を、政府自身が守ることである。
特権に恵まれていないと司法府がみなす人々を守るには、彼らを権利のある個人ではなく、人種、階級、性といった特定の下位集団(subgroups)として見なければならない。その結果、ロールズ理論は集団の利益を代弁する政治を助長する。
通常、最高裁は憲法判断を求められると、憲法に列挙された個々の権限を参照する。ロールズはそうではなく、立法が世の中を平等・公平にしたいという誠意(sincere desire)に基づいているかどうかによって判断するよう求めた。
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