「トリクルダウン経済学」(trickle-down economics)なる言葉の意味は不明確だが、こんなことかと思われる。「市場経済の信奉者によれば、もし富裕層に減税や補助金支給を行えば、富裕層が手にした富は(どういうわけか)貧困層に“したたり落ちる”」。
「トリクルダウン経済学」の問題は、自説(their own views)を言い表すのにその言葉を使ったことのある経済学者が誰もいないことだ。「Aグループに物を与えるのはよいことだ。Bグループにしたたり落ちるから」などと主張する経済学者は存在しない。
それだけでなく、議論そのものがばかげている。与える物が何であれ、仲介人(middleman)を飛ばし、Bグループに直接与えればいいではないか。
市場を擁護する者はけっして、富裕層に対する富の直接移転(direct transfers)や補助金を支持しない。それは一種の縁故資本主義であり、真の自由主義者が拒否するものだ。
貧困層を助けるには、自由を最大限広げ、政府の介入しない市場(unhampered market economy)を通じて価値を創造・維持することだ。富裕層に補助金を与えるのではない。経済の自由があらゆる人にもたらす生活水準の向上は、したたるどころの話ではない。
0 件のコメント:
コメントを投稿