原子力発電の最大の問題は、安全ではない。コストである。原発の経済性からみると、特に米国では、エネルギー全体の中で限られた役割(marginal part)にとどまり続けることはほぼ確実である。
多くのエネルギー源は初期費用(upfront costs)が割合小さい。しかし原発の固定費は膨大だ。米国で原発を新設するには約90億ドルかかる。シェール油井新設の1000倍以上、世界最大の太陽光発電所の3倍以上の費用だ。
原発新設にかかる90億ドルとは、時価総額最大のアップル社が2016年に借りた金額と同じだ。原発は大胆な若い起業家ではなく、GEや東芝といった大企業が政府から融資保証(loan guarantees)の形で多大な支援を受け、建造する。
原発のもう一つのリスクは安全だ。よく知られる事故や放射能漏れの恐れではなく、未知の危険だ。もしテロリストに爆破されたりハッカーにメルトダウンを起こされたりすれば、被害は壊滅的だ。防御には予想できないコスト(unanticipated costs)がかかる。
原発は巨大で危険をはらむ、政府補助を受けた企業による無駄な事業(boondoggle)である。いつの日か核融合発電や安くて小規模な核分裂反応炉ができれば、古い夢がよみがえるかもしれない。しかしそうならない限り、原発は未来の電力ではない。
2 件のコメント:
小野先生たちの意見に同意します。原発は完全に詰みで将来はありません。
http://onodekita.sblo.jp/article/178380675.html
記事で指摘されているように、核のゴミの問題もありますね。
いずれにせよ、ポイントは経済性だと思います。
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